これからの「最悪」の話をしよう

海外にいる人から、日本の報道を見ていると安心するけれど海外メディアの報道を見ると心配になると言われる。日本メディアと海外メディアとの記事の内容が違い過ぎるからである。つまり、どちらかが嘘をついている。

「誠に残念ですが、日本は貧しい国になるでしょう」。米国家経済会議(NEC)前委員長のローレンス・サマーズ米ハーバード大学教授が23日、ニューヨーク市内の講演で断言すると、会場が静まり返った。産経新聞 3月30日(水)22時51分配信

上記記事で述べられているのは今後の日本に対する悲観論である。この悲観論が生まれる根拠には、今度の震災被害と原発事故対処への費用がかさむことへの懸念と、それをスムーズに処理しようとしない日本政府への苛立ちが含まれている。

海外メディアが今回の震災や原発事故に関して報じるのはおしなべて悲観論をベースに記事を構築している。次のリンク先の記事はその一例である。

政府・東電「甘すぎる対応」 海外メディアが激辛報道 (J-CASTニュース)

しかし最も注意すべきなのはこれから紹介する記事である。今日のブログはこの記事を紹介するために書いている。それは日本にとって最悪の結果が待ち受けていることへの自覚を促すことと、今のうちから覚悟をしておくことを勧めることが目的である。

記事を紹介する前に僕の感想を書いておこうと思う。それは、この原発事故への対応の遅さと稚拙さは、太平洋戦争の敗戦から日本人が何も学ばなかったことが原因である。その結果日本人は第二の敗戦を体験することになるだろう、と思うのである。もう日本人は未来永劫、自分たちの国家などもたせてもらえないのではないかという危惧も生じるほど、事態は深刻で且つ悲劇的なのだ。

それではちょっと長くなるけれど、そのまま引用する。

「福島のメルトダウンが地下水に到達すれば、チェルノブイリより深刻」 (マスコミに載らない海外記事・様より)
トム・バーネット博士
"Hawai'i News-" 2011年3月27日
福島事故は、チェルノブイリさえも、ささやかなものにしようとしている。レベル7の原子力災害が、ほぼ一週間続いているのに、日本政府は認めようとしない。
爆発して、核反応が停止したチェルノブイリとは反対の形で、災害は進行している。福島では、核反応は悪化しつつある。三つの原子炉はメルトダウン状態にあり、我々は、恐らくそのいくらかを浴びることになるだろうと、私は思っている。
もしも、第3号炉がメルトダウンすれば、 格納容器の下のコンクリートは溶岩のようになるだろう。だが、福島では、地下水面が遥か下というわけではない。自律的な反応を起こしている核物質の溶融した塊が、地下水面に至ると、単純に冷えてはくれない。爆発するのだ。核爆発ではないが、恐らくは、発電所施設にある残りの原子炉と燃料棒を巻き込むには充分だろう。
臨界状況にある原子炉に、コンクリートを注いでも無意味だ。ただ爆発し、更に多くの放射性粒子状物質を放出するだろう。コンクリートは溶け、問題は悪化するだろう。チェルノブイリは違っていた。臨界の原子炉は爆発し、核反応を停止した。福島では、炉心は依然として、メルトダウンを続けている。これを停止させる唯一の方法は、10キロトンの核分裂型爆弾を、各炉の格納容器内部で爆発させ、炉心が気化するのを願うことだ。これは、恐らく悪い解決法だ。
原発メルトダウンというのは自律的な核反応だ。核反応を止める以外に、停止させる方法はない。そして、それには、核兵器が必要だ。実際、今進行中のことを停止させるためだけでも、格納容器一基につき、核爆弾が一発、必要だろう。しかし、これは厄介なことになるだろう。
非常用発電機の配置のせいで、福島の事故は起こるべくして起きた。もしも、非常用発電機が、津波で水浸しになって、一斉に故障していなければ、今の様な福島の事故は起きてはいまい。それでも、やはり原子力災害となってはいただろうが。世界中のあらゆる格納容器は、マグニチュード6.9の地震に耐えるように作られている。日本は、1896年に同様な地震が全く同じ地域を襲ったという事実を無視することを選んだのだ。
ともあれ、アメリカとしては公開して欲しくないと思っているらしい情報はここにある。また、ここには、大局観という点で、役立ちそうな表がある。
事をややこしくしているのは、第3号炉のMOXだ。MOXというのは、ウラン化合物に加えて、9%未満のプルトニウムを使用して、原子炉の燃料とする‘混合酸化物燃料’の略だ。MOX利用可能なのはこういうわけだ
問題は、これが厄介な代物だということだ。原子炉というのは、核分裂性物質を、水を沸騰させるのに充分な(軽水炉で)の熱さの温度にはさせるが、溶融して、超臨界(チャイナ・シンドローム、あるいはチェルノブイリ事故)にまでは至らないようにするものだ。もし、そうなったら、止められないので、原子炉は、決して暴走させるわけには行かない。
日本は、除染するのに、何日やら、何週やら、かかると、いまだに言い続けている。これは本当ではない。彼等は除染できない。そして、あの地域には、何十年、あるいは、何百年、再び住むことはできまい。
トム・バーネット氏は、地球科学と物理学で博士号を取得している。
記事原文のurl:http://hawaiinewsdaily.com/2011/03/when-the-fukushima-meltdown-hits-groundwater/

この文章のどこに最も注目すべきかというと、第7パラグラフの部分である。
そこには「アメリカとしては公開して欲しくないと思っているらしい情報はここにある」と書かれている。そしてリンク部分をクリックすると、北極を中心とした北半球地図が出て、福島第一原発から放出された放射能が、太平洋を渡りアメリカ全土に降り注ぐ様がアニメーション表示されているのである。

このアニメーションを見れば、アメリカにとって何が問題となるのか誰にでも分かるだろう。アメリカは日本の放射能被害を受ける被害国となるわけだが、アメリカ政府はアメリカ国民をあらゆる外敵から守ることがその重要なミッションの一つであり、それを疎かにした場合政治家はおろか政府自体の存在理由がなくなるのである。

アメリカ全土に降り注ぐ放射能を外敵と定めることは十分想定内である。そのためにアメリカ政府は日本政府の意向などお構いなく福島第一原発を封印する動きに出るかも知れない。或いは日本政府を脅してでも強引に日本にとって悲劇的な作戦に協力させることになる。

そしてそれはどのような作戦なのかという点もまた、先の記事の第5パラグラフにヒントが書かれている。
原発メルトダウンというのは自律的な核反応だ。核反応を止める以外に、停止させる方法はない。そして、それには、核兵器が必要だ。実際、今進行中のことを停止させるためだけでも、格納容器一基につき、核爆弾が一発、必要だろう。しかし、これは厄介なことになるだろう」という部分である。

この文章を読んで「あっ!」と思わない人は、ちょっと思考を止めて広島や長崎に投下された原爆を思い浮かべてみるといいだろう。原子爆弾は核燃料を反応させることで大規模な爆発を起こす爆弾である。しかし核燃料は化学反応を起こし熱エネルギーに変換されるので放射能はそれほど残留しない。つまり核燃料のエネルギーはほとんどが爆発に使われるのである。だから広島や長崎にはその後も人が住み生活することが出来る。(かなり端折った説明なので疑問に思う人はそれぞれ調べてみてください)

しかし原子力発電所の核燃料の場合はそうではない。いつまでも核燃料のエネルギーは外に放出されず、その間何年もの間放射能をまき散らすままだ。だから、強引に核爆発にもっていくことで、核燃料のエネルギーを一挙に放出させ熱エネルギーに変えてしまう。

そんなSF映画のようなことが可能なのかどうなのかというと、この記事の中では否定的である。何せ福島第一原発には6つの圧力容器の中に核燃料が入っているのである。しかも使用済みとはいえまだ放射能を出し続けている使用済み燃料棒も多数存在する。これらを時間的に寸分の狂いもなく核爆発させることは基本的に無理だろう。また相当な大爆発が予想されるので、地球環境に於ける被害も莫大となるだろう。それになんと言っても、日本は国土の多くの部分を失うし、作戦のやり方によっては国民の命まで失うことになる。

しかし、軍事技術に関しては、一般の人には分からないことが多く、出来ないように思っていたことも実は簡単に出来たりすることもざらにある。それが核爆弾に関することとなると尚更である。

また住民被害についても、ハーバート大学のマイケル・サンデル教授のようにいえば、このまま何もせずに地球環境を悪化させ大量の自国民や周辺諸国の住民の健康被害が起こることを放置するよりも、核爆発によって一時的に環境被害と日本人への被害があったとしても、作戦を実行した方が長期的に助かる人が多い場合どうするべきか、となる。

この時、作戦の成功率が高ければ、アメリカは躊躇なく日本の国土や日本人の生命と引き替えに福島第一原発を核爆発させる作戦を選ぶだろう。そうなれば日本も吹っ飛ぶが政権も吹っ飛び、再びマッカーサーのような米軍統治体制が来るのかも知れない。そして世界はそれを当然のことのように黙認するかも知れない。

もちろん、ここに書いたことは実際に起こる可能性などなきに等しい。しかし、現在の日本政府や東電の責任感の欠如した対応ぶりを見ていると、世界は間違いなく日本を見捨てるだろう。もはや国内問題ではなく、国際問題に発展しているのである。

日本が太平洋戦争に突っ走っていたのも軍を含む官僚の暴走とそれを賛美したメディア企業の責任であるが、戦後両者の総括をすることもなく、形を変えはしたが基本的に当時の体制を残したままにしてきたツケが今頃やってきたのである。

今、日本では官僚による統治が危機を迎えていると言っていい。その腰巾着を続けてきたマスメディア企業も同様だ。日本はここで本当に自ら変わるチャンスでもあるのだが、現状を見るとまだまだ国民の意識は薄く、官僚政府がやがて何とかしてくれるだろうと他力本願な希望を当たり前のように持っているように思える。

しかし、政府など政治家も官僚もまるで役立たずであることがハッキリとしている。まずそれを確認することから始めなければならない。そのためには菅政権がやっている情報の小出しと隠蔽を早く止めさせて、広く国民に真実を伝えなければならないのだと思う。

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