期日前投票に行って考えたこと

市役所周辺に用があったので、そのついでにと期日前投票を済ませてきた。自分の住むローカル都市では市役所内の一室が期日前投票所となる。

期日前投票所に着くと思っていたより多くの人出で賑わっていた。随分以前にも期日前投票をしたことがあるが、その時はもっとがらんとしていたように記憶している。今度の衆議院選挙は争点が隠されていてどの党に投票すればよいのか分かり辛いと言われているけれど、やはり使命感を感じて期日前投票を済ます人が多いのだろうと思う。

僕の住むローカル都市は、選挙区では民主党の現職、自民党新人、維新の会新人、共産党の新人、計四人の候補者がいる。前回は民主党の現職議員に投票したのだが、この三年間の政治の迷走に心底ウンザリとし、もはやこの人に自分の一票を入れようという気にはならず、かといって自民党に入れることは以前の新自由主義に戻ることを意味するのでこれも除外、維新の会はその新自由主義を更に進めようとするタカ派色の強い主張にとてもついていけなくてこれもやはり除外する。すると何と共産党の候補しかいなくなってしまった。ここには日本未来の党の候補者なんかいないのである。

マスコミ各社の世論調査というものでは自民党が圧勝するかのような調査結果がこれでもかと目障りなほど大きく載っているのだけれど、僕の肌感覚は少し違って、自民党公明党を足して漸く過半数に届く程度で、民主党は半減するも100議席はキープするだろうと思っている。民・自・公の集票力とは組織力の賜物である。いわゆる『風』が吹いていない状態だと組織の大きさがそのまま得票数に出る。マスコミがお気に入りの維新の会は世論調査では50〜60議席などと言われているけれど多分10議席前後ではなかろうかと思う。維新の会はマスコミが騒げば騒ぐほど反発も大きい。逆にマスコミの世論調査において20議席前後と言われている日本未来の党は40議席位はいきそうな勢いを持っていると思うし今後の伸びしろの余地を多く残している。

維新の会への評価が低すぎると言われるかもしれないけれど、1993年の衆議院選挙時に一世風靡し政局の中心的役割を果たした日本新党だって当選者は35名に過ぎない。あの時の風の強さを記憶しているのであれば、維新の会の50〜60議席という予測は楽観的過ぎるだろうと同意されると思う。

日本未来の党に関してはマスコミ各社が一斉に無視を決め込んだせいもあって選挙戦序盤は目立たない存在だったのが、徐々にその主張がじわりじわりと浸透しているように思う。何せ消費増税原発政策、TPPなどに真っ向から反対している政党の中では最大手なのである。もちろん大きな風となるほどの浸透力は時間的にないのだけれど、とりあえず今後の核となるべき礎を築くことは出来るだろうと思っている。

日本未来の党にとって大事なことは、一人でも多くの議員を国会に送り来夏の参議院選挙への布石を打っておくことである。僕はそのためには30名ほどの当選者がいれば何とかなるのではないかと思っている。今回の選挙により安倍自民党総裁が総理大臣に復職する可能性が高いようだが、安倍氏の主義主張にはナショナリズム剥き出しの極めて危なっかしいものが多く、それを前面にたてればたてるほど政権運営も危なっかしいことになる。また幾ら今回の選挙によって総理大臣に復職したといっても、国民が安倍政権を望んだ結果ではなく、あくまで消去法で仕方なく選ばれたに過ぎないのである。つまり安倍復活政権とは国民からの支持の少ない極めて脆弱な基盤しか持たない政権であり、早晩崩壊する可能性が高いと思っている。

そして来夏には参議院選挙が待ち構えている。衆議院選挙が同時に行われるかどうかはわからないし可能性としては低いだろうけれど、これこそ2009年に始まった政権交代劇のひとつの大きな山となるだろう。参議院を制するものこそ国会を制することが出来るのである。この参議院選挙をどの政党が制するかで今後の大きな命運が決まる。今回の衆議院選挙とは、実は来夏の参議院選挙への前哨戦としての意味合いが強いのである。そのための布石を打つことの重要性を小沢一郎は誰よりもよく知っているだろう。

期日前投票所となった市役所の部屋から出てふと振り向くと、いかにも農家のお爺さんお婆さんと思われる人々の姿が多く目に入った。新自由主義の社会からは切り捨てられようとしている職種の人々である。彼らが一体どの候補者や政党に投票しているのかは定かではないが、その投票用紙に書いた名前がその首を絞めにこなければいいんだけれど、と思わずにはいられなかったのである。

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