関係者リークに踊るマスコミ

またいつもの馬鹿騒ぎが始まった。

小沢民主党幹事長の政治団体陸山会の会計処理に問題があるとのことで、東京地検特捜部は小沢幹事長の元私設秘書で現民主党衆議院議員石川知裕衆院議員(36)=北海道11区=を先日任意聴衆し、今度は小沢一郎本人から任意聴衆を行いたい意向のようである、と関係者が語り、それをマスコミが喜んで記事にしている。

陸山会資金移動 小沢氏に聴取要請へ 東京地検 (毎日新聞)
小沢氏を任意聴取の方針 土地取引問題で東京地検 (朝日新聞)

そして面白いのが産経新聞なのだが、産経新聞のホームページにはこの件の記事はないのにYahoo!のニュース欄には記事を出している。証拠隠しのつもりなのかただのジョークなのか、いつもよくわからない新聞社である。
小沢氏に聴取要請 「陸山会」土地購入疑惑で東京地検 (産経新聞:Yahoo!)

元々陸山会の土地取引に関する会計処理問題は、昨年の所謂西松事件の時にも関係者が一生懸命リークして騒がれもした。それに対して小沢一郎は会見で、04年でなく05年の報告書に記載していると答えていたと記憶している。それは何故かというと、土地を購入するという定義の問題で、収支報告書に記載する日時を代金移動の時とするか(04年)、登記された時とするか(05年)の違いに過ぎないという説明だった。まぁ、僕の曖昧な記憶なので定かではないけれど。

マスコミは大きな問題のように騒いでいるが、小沢一郎の説明通りだとすると(そして僕の記憶通りだとすると)、これは帳簿上の些細な解釈を巡る論議な訳である。昨年の西松事件も大久保被告が容疑を否認し、特捜部も決め手となる証拠すらなく、自分たちの解釈だけが正しいと公判に持って行っている状態だ。これではまともな裁判の体すら為さない可能性がある。

要するに特捜部が馬鹿騒ぎを起こしている状態である。

この騒ぎを起こすやり方というのが、いつも同じで失笑ものなのだが、関係者といわれる人物が出てきて、特捜部はこのように動く意向であると呟き、それを馬鹿なマスコミが我先に「関係者によると」という出だしで記事にして騒ぎに火をつける。するとある期間この話題が新聞テレビ雑誌に露出して世間に不穏な空気が流れるのである。

この場合の関係者というのは、他でもない東京地検特捜部の者である。何故ならば、特捜部内部の者にしかわからない情報をリークしているからである。彼らが匿名でリークしているのは、マスコミを騒がせ世間にこの疑惑を広め、小沢一郎は悪い奴だという印象を植え付ける世論誘導を行うためである。

このように世論誘導を行い世間を味方につけようとするのは特捜部のいつもの手であるが、一方でこのやり方は国家公務員法違反の疑いが強いことも事実である。官庁の内部情報を漏らしているのであるから、当然この解釈は成り立つ。また人権擁護の点においても疑問視する声は強い。

例えば東京地検特捜部に逮捕され冤罪を訴えている鈴木宗男は12月30日の自身のブログで下記のように述べている。

今日も新聞は小沢幹事長の資金団体の件、石川知裕代議士の事について大きく扱っている。記事の中で「関係者によると」「関係者の話によると」「関係者の取材でわかった」という表現があるが、その「関係者」が問題である。TVの放送で「関係者とあるのは検察です」と極めてわかりやすく説明されていた。

「関係者」に言いたい。「国家公務員法に触れていませんか」「人権擁護委員会にもかけていい話しです」と弁護士、法律に詳しい人から指摘を受ける。

小沢事務所、石川事務所もきちんと対応していると思うが、民主主義の根幹に係わることである。

検察がすべて神様、仏様ではない。間違った判断で「足利事件」「布川事件」と冤罪を作ったのは検察である。「検察に反省や謝罪の心がない。検察の暴走を許してはいけない」といった多くの声が寄せられる。私もその通りだと思いながら、こうした声をしっかり受け止めて参りたい。

正直者が馬鹿を見る社会にしてはいけない。年の瀬を迎え明日の生活を心配している人が沢山いる時、悪代官、権力者がぬくぬくと生きていく社会であってはならない。声なき声を私は代弁していく。

また昨日1月5日にはこうも述べている

東京地検 小沢氏秘書を聴取」と夕刊各紙は報じている。検察しか知り得ない情報がどうして漏れるのか。

よくメディアは「反権力」と言うが、実際は権力の流す裏付けのとれない情報を鵜呑みにして記事を書かざるを得ない。そうして、知らず知らずのうちに世論誘導がなされていく。権力のなせる怖さである。

真実、事実のみを国民に知らせてくれれば良いことが、権力の掌てのひらに乗ってしまい、「我先に」という報道が多いのではないか。検察には国家公務員としての守秘義務が当然ある。それを自分達の有利な状況作りにつかわれたのでは、たまったものではない。

国民に選ばれた国会議員は、国民生活を守るため予算を通し、更に法律を作る立場にある。「民主主義が国民主権」と言うのなら、本当の意味での「主権在民」について、国会議員は真剣に考えなくてはいけない。

権力の暴走を許してはいけない、また権力の暴走をつくってもいけないと、しみじみ考えるものである。

地検特捜部は今まで数々の冤罪を生み出してきた機関であり、特に最近の鈴木宗男佐藤優植草一秀堀江貴文村上世彰佐藤栄佐久等は無実であると裁判で争っているし、実際に彼らの主張をよく読むと、彼らが政治闘争のためにスケープゴートにされた可能性が極めて強いのである。また、江副浩正も検察の悪辣な手口を最近の著作で告発している。

彼らの訴えを聞いていると、日本という国は警察国家であることに気付かされる。ある日突然犯罪者にされ、国中挙げて敵のように扱われる可能性のある国である。そのような世界はカフカオーウェルの小説の中にだけあるのかと思っていたら、実は自分はそういう国に正しく住んでいるのだという現実に愕然とする。

一連の小沢一郎バッシングとは、小沢一郎を無理矢理にでも悪人に仕立て上げ、その政治力を削ぎたく思っている権力が地検特捜部の背後にいるという現実をまざまざと見せてくれる。彼らは国家公務員法も平気で破り、人権擁護など気にもせず、冤罪を作ってでも自分たちの目的を達成したいと考えているような連中である。

The Journalというインターネットサイトで高野孟と佐藤優が対談をしていた中にあったのだが、政治家は常に選挙という洗礼を受けることを義務づけられているのだから、相応しくない政治家がいたら、選挙民が判断してその進退を決めるべきなのである。決してスキャンダルで、しかもそれをでっち上げまでしてその政治力を削ぐことは国家の力そのものを弱体化させることに繋がるから避けなければならない。

佐藤優×高野孟「官僚vs.政治家の仁義なき戦い」 (MP3)

またその対談内で、昨年末に来日したゴルバチョフ元ソヴィエト書記長と佐藤優が話をした時、ゴルバチョフは「昨年の選挙で相当数の民意を受けて誕生した政権をマスコミはある程度は守らなければならない」と話し、「政権はスキャンダルを作って政治家をパージしようとする勢力と戦わねばならない」といった内容を語ったと言う。また現政権に対しては「それなのに何をやっているのか」と感想を漏らしている。

僕も全くゴルバチョフと同じ意見で、政権移行後100日のハネムーン期を過ぎた鳩山政権は、自らを狙う権力とガチンコで戦わねばならないだろう。そしてそれは今後数年続くと思われる民主党政権と、国家の維持のために必要な戦いである。

今回の関係者リークである小沢幹事長からの直接事情聴取が、一体どのような方向に向かっていくのか興味深く見守っている。鳩山政権はこれと本気で戦わなければ政権の土台そのものがガタガタになることだろう。民主党議員たちは小沢一郎に対しての無理解や好き嫌いなどを乗り越えて、この闘争に全力で立ち向かわねばならない。

そして何よりも大事なのは一般の国民の方である。こうした中傷報道の嵐の中で物事の本質を見極めなければならない。自分の頭で考えることの出来ない馬鹿は仕方ないが、常に「風が吹くと誰が儲かるのか」といった目で報道に接しないと損をするのは自分自身なのである。

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