そして明日が投票日

盛り上がらない、と勝手に思いこんでいるだけかと思っていたのだが、やはり誰に聞いても盛り上がっていない様子の参議院選挙なのだが、いよいよ明日が投票日である。

天気予報も芳しくなく全国的に午後からは雨の予報が多い。雨が降ると投票率が下がり浮動層が投票所に来なくなるので、一般的に組織票を持つ与党が優位となる。しかしそれは自民党時代の話で、民主党が与党になると、組織票といっても労組や日教組など比較的結束が緩い組織票が主であり、利権団体や創価学会などの結束の強い組織票を持つ自公の時代とは違った結果が出るかもしれない。

今回の参議院選挙の争点は、菅首相の勇み足のような消費税10%増税発言から、何時しか消費税を増税するかどうかにばかり注目が集まった感があるけれど、鳩山前首相が退陣して菅首相が出てきたわけであり、その意味で鳩山退陣のきっかけとなった沖縄の米軍基地移設問題と菅首相への信任自体が本来の争点であるべきだろうと思う。

つまり、沖縄の米軍基地を今後どうするのか、もっと具体的に言えば沖縄の過剰負担をどうするのか、さらには今後の日米同盟をどのような思想の元で運営していくかが問われるべきなのである。菅首相は鳩山前首相が散り際に発言した米軍基地の辺野古移設を支持すると言ってから、それ以上沖縄については何も語らなくなった。

菅首相は沖縄を背負い、自らの信任を賭けて選挙を戦うのが望ましい姿だった。いくら秋に代表戦を控えているといっても、国民に直接信任をもらった方が今後の政局運営には遙かにプラスだったのに、消費税増税なんぞに論点をすり替えてしまったおかげで争点はぼやけてしまい、自らの信任を問うチャンスも不意にしてしまった。誠に残念なことだ。

結局民主党は沖縄に独自候補を出すことが出来ないまま参議院選挙に突入してしまった。このあたりの覚悟のなさは、今後菅政権を見るたびに思い起こすことにしよう。問題点から逃げてフタをする。そして別の問題点にすり替える。今の日本の暗い状況を変えるという大仕事などとても任せられない卑怯卑屈さをここに見るのである。

一方、菅政権の周辺にいる普通の民主党議員たちは、そんな執行部を冷ややかな目で見ているという。特に参議院改選組は首相の消費税発言で逆風を真っ正面で受けざるを得ず、殆ど悲鳴のような叫び声が中央に送られてきているという。

この選挙、昨年政権交代を選んだ人なら旧政権である自公の復活を由とはしないはずである。たった一年で自公を復活させることは、すなわちこの一年を無駄に捨ててしまうだけでなく、さらに来年の一年をも捨てることになるだろう。都合二年のディスアドバンテージを現在の日本が耐えられるかというと、それは出来ないだろうと思う。今や日本は沈みゆく船なのだ。ここで処方箋を昔に戻すことほど愚かなことはない。

選挙前に脳天気に消費税増税を言い、やばいと思ったらその修正に毎日追われる小心者の首相と、その結果与党過半数割れを見越してみんなの党などという小泉ー竹中主義の流れをくむ政党との連立を公言して憚らない幹事長など、あまりに器の小さな人間ばかりの執行部になってしまったことが今の民主党の問題であり、この参議院選挙を盛り上がらないものにしている所以である。

今度の選挙で民主党が50議席とろうと60議席とろうと九月の代表戦は荒れることになるだろう。荒れる台風の目は小沢一郎だろう。小沢一郎が存分に暴れないと政権交代自体が自民党時代を小さく修正したもので終わってしまうことになる。そしてその小沢を暴れさせるためには小沢系あるいは現在の執行部に対して反感を持っている議員を多く参議院に送ることが大事である。それは二人区の二人目の候補者や、小沢が直接発掘した候補者たちである。この候補者たちは既に党本部から小沢色が強いということで選挙応援を制限されているという。こんなところにも現民主党執行部の器の小ささが出ている。

そんなわけで見物は九月の代表戦である。参議院選挙はその前哨戦にすぎないとば言い過ぎだが、どちらにせよこの国の行方を占う選挙であることは間違いない。去年自分がどのような想いでどの政党に投票したのか忘れないようにして、また投票所に向かおう。

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