鳩の反撃はこれから始まるのか

忙しいのだか何だかよくわからないのだけれど、日々の些事に追われてふと気が付くと一日が終わろうとしている。ブログを更新しようとしてもつい眠気に負けてそのまま寝てしまう毎日だ。

このブログに書きたいことも、次々と現れ、流れ、やがて底に溜まって澱になる。例えば、与謝野肇が自民党を脱け平沼赳夫らと共に新党を作る。よりによって石原慎太郎が名付けたその名前が「立ち上がれ日本」というから思わず脱力してしまう。自民党比例区で復活当選した与謝野がしゃあしゃあと自民党を見限って離党し、主義主張の相容れない平沼と組むあたりからして焦臭いわけだが、平沼を崇める城内実らが入党していないことなど、これは平沼が利用されているだけじゃないかと邪推しているのだがどうだろう。

この新党は設立メンバーの平均年齢が高いこともあって、今ひとつ世論の支持を集めていないようだ。反民主という一点で存在感を主張しているみんなの党などは、票の食い合いを恐れていたろうからホッとしていることだろう。

どちらにせよ9月に参議院議員選挙が行われるわけで、その勝敗があと数年は続く民主党政権の今後を占うことになるだろう。そして今、マスゴミが熱心に報道しているのが世論調査の結果である。

参議院選挙を前にして鳩山政権の支持率が急激に落ち込んでいるという。いくら支持率が落ち込もうと、対する自民党はさらに悲惨な状況なので、みんなの党や立ち上がれ日本などといった新党が乱立するわけである。自民が強ければ枝分かれなどするわけもなく、結局新党乱立の原因は自民党の凋落でしかない。

自民党は派閥によって廻っていて、その派閥は所属議員への金のばらまきで廻ってきたという。そのシステムが変わらないのは、旧弊な時代と変わらぬ派閥議員が今も生き残っていることを見れば容易に察することが出来る。人間も齢60や70代となればなかなか新しいシステムの導入を受け入れることが出来ないだろう。ましてや自分に廻ってくるはずの金や権力を犠牲にして、次の世代のために潔く身を引くことなど出来ないわけである。身を引くことが出来ないから今も長老などと言われながらも国会議員を続けているわけである。

自民党が政権与党から野党へと転落し、真っ先にぶち当たったのが金の問題であろうと容易に察することが出来る。金で廻ってきた派閥に金は入らず、その結果求心力がなくなってしまう。求心力のない派閥はもはや個々の議員の出鱈目な行動を押さえつけることは出来ない。そんな弱体化した派閥の上にのっかている谷垣執行部は砂上の楼閣である。だから新党が出来るのである。

一方の鳩山政権なのだが、支持率が落ちている原因は大きく分けて二つあり、一つは官僚とメディアによるバッシングであり、もう一つは軽量級閣僚が足手まといとなっていることである。この二つは時には同時に起こり、相乗効果を上げてしまう。

官僚とメディアによるバッシングは例の「政治と金」問題などで、東京地検特捜部などがあれほど捜査しても何一つ違法行為の証拠などは出てこなかった。それにも関わらず小沢は悪い奴だというイメージを世論に刷り込むことに成功した。この件は今も鳩山政権にダメージを与えているだろう。

また軽量級官僚というのは、例えば千葉法務大臣のような人で、取調べの可視化法案を野党時代参議院で二度も可決していながら、いざ自分が大臣となると躊躇して今さら勉強会などをしてお茶を濁してしまう。或いは前原国交通大臣の八ッ場ダム日本航空会社更生法を巡るドタバタなど、明らかに大臣としてというよりも政治家としての資質を疑うべき連中が騒ぎをもり立てる。また平野官房長官のように、総理会見のオープン化を拒んだ挙げ句、自身は米軍の沖縄基地問題などで失言を繰り返すなど、もはやこうなると人間として如何なものかと言いたくなるような者が閣僚の中心にいるのだ。こうした連中が垂れ流す放言をマスゴミが面白可笑しく報じるおかげで、鳩山政権は信頼を失い支持率が下降したように思う。

しかし「週刊朝日4月16日号」の特集である「民主党チェンジじわりと進んでいる」などを読むと、鳩山政権はこの10年の自民党政権よりもより多くの仕事を成し遂げていることがわかる。まぁ、この記事の採点はちょっと甘口のような気もするのだが、それでもこうした切り口で堂々と特集を組むことは四面楚歌の中勇気がいることだろうし、こうしたメディアがあることでマスメディアは中立性を保つことが出来るのである。

政権交代を成し遂げた去年の夏に、民主党は最初の関門の自民党は下したが、第二の関門である官僚とマスメディアが立ちふさがるだろうと多くの識者は警告した。そのことはこのブログの記事にもしたのだが、現実はやはりそのようになった。そしてこの関門に立ち向かう為には力業などではなく、実は国民一人一人のマチュア(成熟)こそが必要となる。

僕たちは去年の夏、一体どうして自民党を下野させて民主党を政権につけて、戦後50年以上続いた政治システムを変えようとしたのか、もう一度考え直さねばならないだろう。常に立ち止まって考えることが成熟に至る唯一の道である。

政権交代から半年経って漸く鳩山内閣初の予算が成立した。つまりここまでの半年は自民党麻生内閣の予算に振り回されながら政権運営を行ってきていたのである。そこで実績を残せと言われても無理な注文であろうことは明白である。

僕は漸く予算を通した鳩山政権は、いよいよ反撃に移るのではないかと期待している。まずは参議院議員選挙に向けて何かアドバルーンを上げるだろう。参議院議員選挙以降は内閣改造があるだろう。ここまでの内閣は、野党時代苦労を共にした功労賞的な人選があったのだが、改造内閣ではいよいよ真打ちが登場するだろう。そしてこれから参議院議員選挙まで、その為のステップが作られることになると思う。そうした流れを計算することは、理数系の鳩山首相の十八番である。

人を見極めるにはその前に壁を作ればいいとよく言われる。鳩山政権にとって支持率凋落は一つの壁だろう。どのように超えるのか、超えたあとに何があるのか、僕は期待しているし、これは鳩山政権以外には期待できないことなのだと思っている。

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