「小沢一郎、事情聴取再要請に応じる」は東京地検特捜部の断末魔なのか

石川知裕衆議院議員大久保隆規公設第一秘書、池田光智元秘書等を逮捕した東京地検特捜部からの関係者を装ったリークは、その違法性を指摘されているにも関わらず今も続いている。

身柄を拘束された彼らに接見できるのは東京地検特捜部の取調官と弁護士のみであるから、取調べの内容を知るのも彼らだけとなる。だから彼らのうちどちらかがマスコミに取調べ情報を流している「関係者」である訳だ。しかし「関係者」の話はすぐに弁護士側が内容自体を否定するので自ずと東京地検特捜部が「関係者」であることになる。公務員である東京地検特捜部が取調べの内容などを外部に漏らすことは国家公務員守秘義務法違反である可能性が高く、この違法性を指摘する法曹関係者はとても多い。

勿論東京地検特捜部だってその違法性を十分に承知の上でリークしているわけで、それ故「関係者」によるリークは嘘八百であることも多い。リークの内容が出鱈目であれば守秘義務法違反でも何でもないわけである。「関係者」はリーク報道を通して世論を操作し自分たちに都合のよい捜査状況を作り上げていくのだが、そのおかげで赤っ恥をかかされるのはそのリークを堂々と報じてしまったマスコミである。

さて昨夜時事通信が流したのは「小沢氏、聴取応じる方針」というニュースである。

 小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体陸山会」の土地購入をめぐる事件で、東京地検特捜部の任意の事情聴取要請に対し、小沢氏側が応じる方針を固めたことが18日、関係者の話で分かった。近く特捜部に回答し、日程調整するとみられる。
 特捜部は政治資金規正法違反容疑で、衆院議員石川知裕容疑者(36)ら3人を逮捕。その後、改めて小沢氏側に聴取を要請していた。
 関係者によると、小沢氏は18日、弁護士らと今後の事件への対応を協議。個人事務所などが家宅捜索を受け、石川容疑者らが逮捕されるという状況の変化を考慮し、特捜部の聴取要請に応じる方針を決めたとみられる。

このニュースを見るとやはり「関係者」の話によるとある。つまり東京地検特捜部のリーク情報であり、今のところ小沢一郎サイドに確認をとっていないニュースのようである。

東京地検特捜部はその前にも小沢一郎に事情聴取を要請したとされているのだが、その時も小沢一郎は事情聴取に応じる方針と報道された。結局小沢一郎は事情聴取に応じなかったとされる。つまり関係者がいい加減なリークをして通信社がそのまま配信したというお粗末な顛末である。この報道も時事通信から流されて、僕はYahoo!ニュースで見てリンクしておいたのだが今ではリンク切れとなっている。こうなると東京地検特捜部が小沢一郎に事情聴取を要請したことすら本当なのか疑いたくなる。

そんな前回の経緯を考えると、今回の「小沢氏聴取応じる方針」というのも怪しく感じるのである。そのように疑心暗鬼になっていると今夕の朝日新聞の夕刊一面が「聴取応じる」だったので他人事ながら心配になってしまった。こんなに大きく載せて大丈夫かなあ、紙面はネットのニュースと違ってリンクを外して逃げることが出来ないからなあ、といった感じである。

世間では小沢一郎が事情聴取を受けないのはけしからんという。また国民に対しても説明責任があるといっているようだし、酷いのになると幹事長を辞めろといい、馬鹿レベルになると議員辞職せよ、というのが最近の世論調査の結果である。

しかし東京地検特捜部の事情聴取というものはそれに応じた鈴木宗男の「汚名」という本を読めばわかるのだが、事情聴取に応じても彼らは何も話を聞こうとはしない。これは地検特捜部に頭を下げに来たという印象を世間に与えて世論操作をする為に行われるものなのである。

そして国民に対する説明責任というのもいい加減なもので、実際に小沢一郎は17日に行われた民主党大会で以下のように述べている

私どもはこの資金について何ら不正なお金を使っておるわけではありません。このことについて実は今月の初めの方だったでしょうか、検察当局から私の方に弁護士を介して「このお金はどういうものですか」という問い合わせがありました。私は別に隠し立てするお金ではありませんでしたので、はっきりとこれは私どもが積み立ててきた個人の資金でございまして、金融機関の名前、支店名をはっきりと申し上げて、どうぞ検察当局でお調べください、そう返答をいたしておったのでございます。

 そしてその翌日、あるいは翌々日だったかと思いますけれども、検察当局からその預金口座の書類は入手した、そういう返答が弁護士を通じてありました。従いまして私は、これでこの資金についての疑いは晴れた、そのように考えて安心して良かったなあと思っていたところでございます。

言葉による説明というものはこういうものであって、今は捜査が進行中であり、証拠書類は全て押収されているのだから、これが説明になっていないというのならどうしろというのだろうか。

結局のところ説明背金を叫ぶ人々というものは、小沢一郎の幹事長辞任や議員辞職という結末でないと納得はしないのだろう。しかし閣僚とは違って幹事長というのは党務を行う立場であり、行政府や立法府とは別の政党でのポジションである。それを辞任したところで多くの国民には特に関わりがないわけである。

また議員辞職を望む声というのも極端である。はっきりと汚職などが立証されたり、例えばコンビニ強盗をしたとかいう現行犯なら議員辞職も当然だろうが、一体何の容疑なのかも固まっていないし、何だか疑わしいと連日報道されているだけなのである。しかもその報道は東京地検特捜部からの一方的なリークによる裏取りもしていない情報をベースにしている。小沢一郎が気に入らないなら選挙で落とすのが民主主義である。つまり、小沢一郎に対して説明責任や辞任を要求する世論は、小沢一郎が党大会で行った説明を知らないか、或いは加熱するマスゴミ報道に煽られているのだろうと思う。このあたり、我々日本人はまだまだ成熟した国民ではないと思う。

東京地検特捜部が小沢一郎へ事情聴取を再要請したという報道とは、実は何とかこのあたりでシャンシャンと幕引きをしたい悶え苦しむ東京地検特捜部地獄の断末魔に聞こえて仕方がないのである。とにかく小沢一郎を失脚させたい旧体制側が、色々な疑惑をなすりつけたが、小沢一郎は細心の注意を払って身に覚えのない罪を捏造され逮捕されないようにしているのである。

そして元々容疑を創造して小沢一郎になすりつけて失脚させようとしていた東京地検特捜部はほぼ手詰まりになったように見える。石川議員や二人の秘書を逮捕するという決戦を挑んだら小沢一郎もさすがに弱気になると思っていたのが、逆にさらなる戦いを挑まれてしまったわけだ。振り上げた拳の落としどころが見えないとよく言われるが、こうまで自分たちの書いた筋書きが狂ってしまうと行き着くところまで行くしか思いつかないのではなかろうか。

それにしても国会は昨日開会したわけだが、野党自民党はこの問題を予算委員会で追及するそうである。それで国会を迷走させた挙げ句、逮捕された3人に確たる証拠もなく、小沢一郎も自宅捜査も逮捕もなくこの問題が終結してしまったら、国会迷走の責任は野党自民党東京地検特捜部が負わなければならない。もはや行き止まりにぶち当たってしまった東京地検特捜部はともかく、野党自民党は予算審議を優先させてから小沢追求をしなければますます有権者の反感を買うことだろう。小沢一郎の4億円問題などより、90兆円を超える国家予算の審議のほうがずっと大事なことは明白だからである。

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