元大阪高検部長三井環氏が今朝、静岡刑務所から出所したようだ。

平成14年4月22日、各種マスコミに検察の裏金作りを暴露することを公表していた、元大阪高検公安部長 三井環氏が逮捕された。逮捕状に記載された、氏の罪状の軽微であることとともに、検察告発の主張を何も言わさないままに、検察当局が当事者の三井氏を逮捕してしまったのは、「口封じ」以外の何者でもないと思った。(本のムシより)

その三井氏が今朝釈放されたという。まだ未確認情報で詳細は不明だが、このニュースもきっと大手マスコミは封殺するに違いないので自分なりに注目しようと思う。

その三井環という人物はどういう人なのかというと、1972年に検事に任官された後、高知、大阪、名古屋の検察庁で検事や総務部長を務め、1999年には大阪高等検察庁で公安部長となった。この時に検察庁の調査活動費の裏金化を内部告発、その内容は週刊誌の紙面を飾ったのである。(新聞やテレビは当初検察の内部告発など封殺して報じなかった)

そして三井氏は2002年4月22日、裏金問題に関してテレビ朝日の報道番組「ザ・スクープ」の収録ならびに「週刊朝日」副編集長との対談を予定していたその日に詐欺容疑で逮捕された。容疑理由は、暴力団組長の親族名義で、競売された神戸市のマンションを落札したが居住の実態がないのに登録免許税を軽減させた、ということである。

逮捕された三井氏はこの容疑は全面否認、裁判で戦ったのだが、そのあたりからの流れをウイキペディアから引用してみる。

2005年2月1日、大阪地方裁判所(宮崎英一裁判長)は三井に対して懲役1年8か月、追徴金約22万円の実刑判決を下した。判決前にほぼ同じ判決文が政界に流布、河村たかし衆議院議員(後に名古屋市長)が入手し告発する事件が起こっている。三井は控訴するも、判決言い渡しから4か月が経過しても、判決の全文が出て来ず、控訴趣意書を書けない異常事態になっていた。2007年1月15日、大阪高等裁判所(若原正樹裁判長)は控訴を棄却、地裁の実刑判決を支持した。三井は上告。2008年8月29日最高裁(中川了滋裁判長)上告棄却決定。2008年10月17日大阪拘置所収監。2010年1月17日の深夜零時に満期。18日朝に釈放。

この逮捕の異様さは同じくウイキペディアの以下の記述から感じとることが出来る。

現職検察幹部が初めて裏金問題について、「検察庁が国民の血税である年間5億円を越える調査活動費の予算を、すべて私的な飲食代、ゴルフ、マージャンの「裏金」にしていることを、現職検察官として実名で告発する・・・」として証言するビデオ収録当日の朝に任意同行を求められそのまま逮捕されたことから、三井の支援者並びにマスコミからは検察による口封じであると批判され、「ザ・スクープ」をはじめテレビや新聞、週刊誌でも口封じ逮捕に関する特集が組まれる事態へと発展した。また、拘置中には持病の糖尿病治療が満足に受けられず、獄死させられる危険も指摘された上、意識朦朧になった様であり裁判をまともに受けらない恐れがあった。

三井氏逮捕時よりこの逮捕に対する疑問が一部マスコミから湧き上がったのだが、大手マスコミはそれらの疑問点を封殺し、検察が公式非公式に発表した内容をそのまま報道として流したのである。その結果、この事件はネットジャーナリズムや週刊誌ジャーナリズム等、当時の報道の本流ではない部分にも注目している人々の間だけで、その裏に潜む闇が共有されたのである。三井氏はこの逮捕直後に声明文を発表している。

声 明 文
 私は2002年5月10日、収賄等により再逮捕されました。
この事実も私に遺恨を抱いていた暴力団組員の利害と、私が検察の組織的裏金づくりを実名で公表しようとした口封じをする検察の利害とが一致し、暴力団員の嘘の供述をまにうけた検察とが結託して、虚構の事実をデッチあげて犯罪事実を構成したものであります。

 犯罪事実はいずれもデッチあげであり、本来は真白であって明らかに捜査権の濫用であります。 かようなデッチあげ捜査がまかりとおるならば、世は闇であります。 取調べはほとんどなく、保釈も許さず長期予防拘留を目的とする捜査、起訴であることは明らかであります。

 収賄罪という国民受けの罪名を暴力団員の嘘の供述のみによって、犯罪事実をデッチあげ、それを真実として私の真相供述は否認と位置づけ、検察の組織的裏金づくりを闇にほうむろうとするものであります。 私が実名をもって裏金づくりを公表するならば、検察首脳は辞職せざるを得ず、森山法務大臣への政治的責任にも発展するものであり、今回の検察の強制捜査は自らの保身を狙った逮捕であります。

 この事件の真の意図がどこにあるのかよく考えてもらいたいと思います。 私はかような不当逮捕、起訴に対して断固闘います。
 平成14年5月13日   三井 環

この逮捕が不当であると感じている人にとってはとても痛ましく感じる文章である。身に覚えのない犯罪をでっち上げられ、逮捕され、刑務所に入れられるということは、しかしこの国では日常茶飯事なのである。田中角栄から始まって、藤波孝生江副浩正植草一秀佐藤優鈴木宗男堀江貴文村上世彰佐藤栄佐久、そして最近の小沢一郎元秘書らなど、誰もが冤罪を訴えているのである。

この国の検察は、勿論きちんと悪人を逮捕し起訴もしているのだろうが、どうもその道筋がおかしい場合が多いのである。また検察が動き始めると法務大臣でさえこの管轄権が及ばない部分が出てくる。それは法務大臣の指揮権は検察の公訴権に対するものだから、それ以外は検事総長となるからである。そして検察、検事総長、裁判所は、特捜捜査のほぼ99パーセントが有罪になるという数字が示すとおり結託しているのである。これでは司法マフィアであり、テレビの必殺シリーズのようなものである。

国策捜査という言葉を流行らせた佐藤優氏によると、検察が世の中の悪を正さねばならないという思いこみのため、悪と決めつけたらでっち上げでも何でもしてそれを逮捕しなければならないという回路が検察を支配しているらしい。そして彼らを外部から監督する機構は日本には存在しない。

さてこの三井氏の出所がどうして気になるのかというと、実は当時の三井氏の内部告発は菅直人の元へ届けられ、菅はその告発を元に法務委員会で検察庁公金着服事件を追求する予定だったというのである。その菅直人は今や財務大臣であり政権の重鎮である。

先週からの東京地検特捜部の動きとあわせて、出所した三井環氏を巡る動きも今後大きく動き出すかも知れないし、それを大いに期待しているのである。


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