最高裁判所判事の国民審査と一票の格差

8月30日の衆議院議員選挙では最高裁判所判事の国民審査も同時に行われる。数人の名前が列挙されているところに×をつける、アレである。

先日haigujinさんのブログを読んでいて、思わずニヤリとしたところがある。

私は今まで、裁判官全員に無条件に×をつけてきた。

上記部分なのだが、実は僕も同じなのだ。選挙権を持って以来ずっと、最高裁判所判事の国民審査では全ての判事に×をつけてきた。

何故かというと、その当時話題になった訴訟に、「一票の格差」裁判というものがあって、当時の最高裁が約3倍を超える票の格差(衆議院場合)を違憲とする、と判断したのである。

当時も今も、僕はこの判断に異議を唱えている。法の下の平等憲法で謳っているのであれば、民主主義の基本中の基本である投票行為に差が出てはならないではないか。衆議院は3倍までは合憲なのだけれど、参議院になると5倍までセーフと、もの凄いことになっている。

票の格差など本来あってはならないし、あってもその差は出来る限り小さくするのが本筋だ。

この判決を聞いたとき以来、僕はこのような判断をした最高裁判所というものは、行政府や立法府から独立してはおらず、時の政府の傀儡であると信じ続けている。そして以降、最高裁判所判事の国民審査においては全ての判事に×をつけようと誓ったのである。

何故全てかというと、最高裁判所の判事になるということ自体この不平等を肯定する行為であると思うからである。中にはこの状況は違憲だという人もいるらしいが、そう言いながらちゃっかり判事になっているのは背信行為だろう。

ちなみに8月11日、総務省は住民基本台帳(2009年3月31日現在)を発表した。各報道機関は、同台帳の人口に基づき全国の一票の不平等を試算し、衆議院300小選挙区で、不平等が2倍を超える選挙区は、昨年に比べ3つ増えて56選挙区になったと報道している。

実は衆議院参議院も、僅かずつではあるがこの是正を行おうとしてきた。しかしながら国会議員自らが定数を是正するという作業は全く進展しない。昔の状態から悪化はしていないけれど、不平等な状況は維持されたままである。

今回の最高裁判所判事の国民審査では、2007年に最高裁判決で一票の不平等を肯定した那須弘平判事、涌井紀夫判事の審査が行われる。このことは覚えておこうと思う。

また、天木直人氏のブログにおいて、二人の最高裁判所判事についての情報がある。以下はそこからの抜粋である。

先ずは外務省から天下りした元外務事務次官竹内行夫判事である。

彼は外務事務次官の当時、米国のイラク攻撃を支持し、自衛隊イラク派遣に派遣した責任者だ。その自衛隊イラク派遣を名古屋高裁は昨年4月違憲であると断じた。憲法を破った人物が「法の番人」となるなどということが認められていいはずがない。

もう一人、最高裁長官である竹崎博允判事である。

彼は昨年11月、あの裁判員制度を成功させるために最高裁長官に抜擢されたと報じられた司法官僚だ。すでに裁判員制度の開始で明らかになったように、裁判員制度は国民の意思を無視した平時の徴兵制ともいうべき悪しき制度である。早晩廃止されなければならない制度である。その制度をつくった張本人の一人であり、その制度を強引に定着させようとする人物を、最高裁長官にとどめておいていいのか。

haigujinさんのブログでも紹介されていたが、政治経済評論家の福島隆彦氏は自身のHPにおいて、幾人かの最高裁判所判事の悪行を訴えている。詳しくは福島隆彦氏のHPを参照されたい。以下はそこからの抜粋である。

竹崎博允

 最高裁長官の竹崎という人は、最近導入された裁判員制度を実現させたという実績だけで長官になった人です。 政府や法務省の方針に忠実に従う判決ばかりをだす裁判官のことを、「ヒラメ裁判官」と、弁護士の間では言います。それは、魚のヒラメのように上しか見えないという意味で、自分の出世の事だけを考えている人間という意味です。

那須弘平

国策捜査(こくさくそうさ)”に引っかかった佐藤優(さとうまさる)氏の 最高裁への上告を、この7月1日に棄却(ききゃく)した。

竹内行夫

この人物こそは、小泉政権時代に、駐レバノン大使だった天木直人(あまきなおと)氏が、「アメリカべったりの小泉政権イラク戦争支持に反対する」と言って、外務省の方針に公然と刃向(はむ)かって外務省を解雇 (免職、めんしょく)になった天木氏のクビを切った責任者です。
 それから政治家の鈴木宗男(すずきむねお)氏と佐藤優(さとうまさる)氏を、外務省の北方領土問題のことで罠(わな)に嵌(はめ)て失脚させた時の責任者の一人です。
 佐藤優氏は、各所で、「外交官上がりの竹内行夫氏は、司法試験を受けて合格してから最高裁の判事になって欲しい。車の運転免許も無いのに、トラックの運転をされては危ない」と言っている。

近藤崇晴

 防衛医科大学教授が、東京・小田急線の満員電車内で、女子高校生の下着に手を入れるなどして、強制わいせつの罪に問われた事件では、今年の4月14日に、無罪判決を出しています。それにもかかわらず、植草事件の方は、ろくに審理もせずに、上告をあっけなく棄却しています。
 最高裁裁判官は、権力に逆らう判決を出しては行けない、ということが脳に刷り込まれている人種です。長年「ヒラメ裁判官」の生活をしてきて、権力の大きな意志が働いている事件の場合、その判断に逆らないと、反射神経的に決断した人です。
 だから、防衛医大教授の痴漢えん罪事件では、判決の「補足意見」の中で、「被害者の供述は、たやすく信用し、被告人の供述は頭から疑ってかかることのないよう、厳に自戒すべきだ」 とか、「やったかどうかわからない以上、『無罪の推定』原理により、被告人には無罪を言いわたすべきなのである」 と言っておきながら、植草事件では、まったく正反対の高裁判決を支持するとした。
 この不正な判決によって、現在、刑務所に収監されている植草一秀氏のことを考えると、私たちはこの近藤裁判官の矛盾した判決をとうてい許すことができません。

同じ名前が何度も出てくるので、最後に整理しておこう。ここに出した最高裁判事は、以下の5名である。

僕は多分、相変わらず全員、だろうけど。

参考 : 一票の格差を考える会 


  • 9月1日 追記

残念ながら、最高裁裁判官は全て信任されました。
最高裁裁判官、全員罷免されず (朝日新聞 WEB)