自民党のマニュフェストを真に受けるヤツがどこにいる?

27日(月)に民主党がマニュフェストを発表したのだが、一方で自民党のマニュフェストは何時になったらお目にかかれるのかと気を揉んでいたら31日(金)に発表予定だという。

どうして政権与党のマニュフェストがこんなに遅いのか、これでどうやって今まで政権運営していたのかと突っ込みたくなるのだけれど、どうやら霞ヶ関の官僚の人々が夜なべをして作っているという。全くご苦労様です。

本来マニュフェストを作るべき議員たちは、選挙間近ということで地元に帰ってどぶ板真っ最中で、マニュフェスト作りなぞ官僚に任せっきりで問題なかろうということのようだ。地元で選挙活動している自民党議員は「私は地元に帰っていてマニュフェスト作りに参加していないけれども官僚が作っているので万全ですし内容も素晴らしいのです」と言っているのだろうか。暑いから仕方ないな、と苦笑するくらいでちょうどいいかもしれない。

その自民党のマニュフェストだが、つい先ほどマスコミによって事前に発表された。以下は読売新聞による自民党マニュフェストの要旨である。

自民党マニュフェスト要旨 (読売新聞)

これを読んで笑ってしまうのは先ずはその内容についてではなく、4年前の所謂郵政選挙と呼ばれた時のマニュフェストを思い出したからである。ネットを探しても既に前回選挙時のマニュフェストは削除されて見当たらないが、その内容は大体以下のようなものだった。

自民党】→自民党重点施策(目次)
1.大胆に日本の改革を進めます
2.地域と都市の再生を目指します
3.世界に羽ばたく文化・産業を育成します
4.安心・安全の国づくりを進めます
5.日本の未来を担う人材を育成します
6.国民を守る平和外交と安全保障施策を進めます

今回のマニュフェストと比べてみると殆どお笑いの世界である。成る程東国原宮崎県知事を招聘しようとしただけあるなあという感想を持つ。

自民党の公約、或いはマニュフェストと聞いて真っ先に思い出すのは、小泉元首相が2003年1月23日の衆院予算委員会で、赤字国債の発行枠が公約である30兆円を上回ることを質問された際、「この程度の約束を守らないのは大したことではない」と答弁したことである。

これは小泉元首相の失言というよりも、自民党政治家の本音が出てしまったというところだろう。歴代自民党或いは自民公明党政権によって、選挙公約が忠実に守られてきたという印象などないに等しいというのが日本人一般の感想である。この失言を総括もせず、新しいマニュフェストを作って(しかも官僚が)も、一体誰がそれを信用するというのだろう。

さてそのマニュフェストだが、過去のマニュフェストをPHP総合研究所が内容を吟味していて、ネットで閲覧することが可能だ。

マニュフェスト白書 (PHP総合研究所)

内容は多岐に渡り私のような素人が口を挟めないものも多いので、上記リンクを各々が読んで感想を持っていただければよいかと思う。但しPHP総合研究所はスポンサーがパナソニックの松下系であり、松下政経塾との繋がりも予想されるので、ある程度のバイアスは頭に入れておこう。

また、政権与党というものは、本来はマニュフェストではなく、政権にあった間の実績を有権者に問うべきものである。だからといって与党がマニュフェストを出すことが無意味だというつもりはないが、先ずは実績を検めることが有権者にとって何より大事なのだ。

実績を検証することなしにマニュフェストで浮かれてしまっては本質を見失う。

7月31日追記
自民党よりマニュフェストが発表された。下記がそのリンクである。
自民党HP トップページ の「日本を守る、責任力」ボックス内より、要約版政策BANK版のPDFがダウンロードできます。