鳩山総務大臣更迭による自民党崩壊の序曲

鳩山邦夫総務大臣西川善文日本郵政社長の続投を認めなかった問題で、麻生首相は鳩山総務大臣を官邸に呼び、予め用意された辞表にサインさせ事実上の更迭を行った。

この問題はここ数ヶ月の間注目されていた問題であるが、麻生首相としては総務大臣をとるか郵政社長をとるかの二者択一の状況にまで追い込まれ、そして自分の任命した大臣の更迭という情けない結末に至ったわけである。

西川社長続投問題に関しては既に新聞やテレビなどのマスコミは勿論、ネット上にも多くの意見が飛び交っていてもうここでは説明はしない。説明の必要な人は経済評論家の植草一秀氏のブログが最も役に立つだろうと思う。

さて、このニュースを聞いて最初に感じたのは、「いよいよ自民党は終わるんだなあ」という感慨である。1955年に当時の自由党民主党が合併し、紆余曲折を繰り返し、一度は下野したこともある、元々はアメリカCIAをスポンサーに持つ日本最大の政党が分裂し消滅しようとしている。

つまり鳩山邦夫総務大臣が西川日本郵政社長に辞任を迫ったということは、郵政民営化という暗黙の了解の下に纏まっていた自民党300議席の結束にヒビを入れたということなのである。自民党議員だって喜んで郵政民営化を支持していた者ばかりではなく、仕方なく支持していたという輩も多い。今後彼らの発言力は増すことだろう。そしてそれは取りも直さず自民党の分裂と崩壊を加速させる。

時事通信による現在最新の支持率調査がある。マスコミが行う支持率調査は何かと作為的操作が施されている疑惑がつきまとい、この時事通信の支持率調査もその例外ではないが、ここにある自民党民主党の支持率はそれぞれ18.4%と15.5%と一応拮抗している。これはほぼいい勝負といえるだろうと思う。

勿論小沢元民主党代表の秘書が逮捕された頃はもっと差が開いていたのが、ここに来て民主党が少しずつ盛り返してきてこの数字なのである。

もう衆議院任期切れまで3ヶ月を切り、衆議院議員選挙まで待ったなしの状態である。この支持率のまま選挙に突入すると、きっとイーブンに近い結果が出たろうと思われる。

巷間噂されているように鳩山総務大臣の更迭の結果、もしかしたら離党及び新党設立があるかも知れない。その際、この新党が衆議院議員選挙後イーブンの勢力で睨み合いをしている自民と民主の間でキャスティングボードを握ることになる。

鳩山邦夫新党が郵政民営化推進勢力の自民党と組むことになるとは考えられないから、鳩山邦夫自身は否定しているが民主党との連携があるかも知れない。或いは、民主党も小沢ー鳩山兄ラインと前原ー岡田ラインに分裂するかも知れない。

そしてどう組み合わせようと、郵政民営化の推進勢力である小泉ー竹中ー中川(秀)のラインは多数を獲れず沈没することになる。日程的に郵政民営化を阻止できるのかどうかは微妙であるが、どちらに転んでも政界は再編成され、自民党支配は終焉を迎える。

しかも、この時事通信の支持率調査は5〜8日に実施・集計され今日発表されたもので、鳩山総務大臣更迭以前の数字なのである。今からもう一度調査すると、さらに自民党にとって悲劇的な結果が出るだろう。

この状況をあと3ヶ月で変えることが出来るとは常識的には考えられない。小沢一郎秘書逮捕では意外なほど自民党支持率の上昇はなかったし、今や検察のやり過ぎであると逆批判の嵐である。

それにしても麻生首相の小者ぶりにはほとほと愛想が尽きる。仮にも1億2千万国民の命運を預かる一国のトップである。日本郵政社長を守って大臣の首を切るなんて、しかも自分を総理大臣にしようと散々苦労した恩人を更迭するなんて恥知らずもいいところである。

この政権の状況をどこかで見たと思ったら、清朝の末期であると思い当たった。官僚は腐敗し、政治家はお互いを裏切り、外国列強に国土を蹂躙された頃に似ているようだ。

自民党と一緒に日本も崩壊しないように気をつけねばならない。あと、関係ないけど、もし鳩山邦夫新党が出来るなら、名前は「新党友愛」などいかがだろう。兄のお株を奪ういいチャンスだろうに。