北朝鮮ミサイル発射事件に対する安保理議長声明を嗤う

北朝鮮がミサイルを太平洋に向けて発射するとかしないとか、それはミサイルでなくて人工衛星だとか、さらには日本としては迎撃して撃ち落とす構えであるとか、散々騒ぎに騒いだ挙げ句、先日ミサイルは予定通り発射され、日本を飛び越え太平洋に落とされた。

日本政府が慌てふためいたこの10日あまりを嘲笑いながら報道を見ていたのだが、結局の所迎撃ミサイルなど撃つ気もなかったのだろうし、実際撃てもしなかった。撃っても当たりっこなかった。一体あの騒ぎは何だったのかよく分からないが、迎撃ミサイル販売業の人々はいい宣伝になったとほくそ笑んでいることだろう。次の予算でどの部分が増えているかよく見るがよい。

さて国連安全保障理事会というものが開かれ、この北朝鮮ミサイル発射の件を取り上げた。安全保障理事会というものは15カ国で構成され、国際平和と安全への脅威や、脅威になり得る問題に対し▽決議▽議長声明▽報道陣向け声明、などの措置を取ることができる。決議には法的拘束力があり、国連加盟国は決定に従う義務がある。採択には9カ国以上が賛成し、かつ常任理事国(米英仏中露)のすべてが拒否権を行使しないことが必要。議長声明や報道陣向け声明に拘束力はなく、全会一致で採択、承認される。

麻生首相は法的拘束力のある決議を目指したそうだが、それは叶わず議長声明が採択された。首相は、日本が求めた新決議ではない点について、「決議にするためにこれ以上、言葉の語気が弱まるなら、この方が良い」と記者団の質問に答えた。また政府高官は、「(名より)実をとった。拘束力のある決議だって、実際には拘束力なんてない」と語った
ミサイル発射前の、やれ抗議だ、迎撃だ、と勇ましくも騒いでいた頃と比べてみると、小泉元首相ではないけれど「笑っちゃう」といった感想を持つのである。

結局日本の要求など何も通らない。どの国も日本のために決議を真剣に考えようとはしなかった。法的拘束力のない議長声明でお茶を濁された。

しかし日本のマスコミはこれを「実をとった」と評価しているようなのである。そして「実をとった」という言葉は報じられるが、一体どのような「実をとった」のか説明できた報道は一切ない。こういうのを「負け犬の遠吠え」というのである。

真実は4月12日の東京新聞記事にあり「米国に梯子を外され決議断念に追い込まれた」、そして日経新聞では「現在安保理メンバー間で協議されている議長声明案は米中が主導して作成されたもので、その中には“ミサイルを発射した”という表現がどこにも使われていない」という

つまり麻生首相及び日本政府が安全保障理事会で相手にされなかったというだけのことなのだが、それを「実をとった」などと報道するマスコミは一体何なのだろう、と嗤ってしまう。

支持率が上昇したとかいって嬉しがっている麻生政権なのだが、実は負け犬政権であり、マスコミの煽てに乗って浮かれているだけである。マスコミは麻生首相の漢字の誤読やホテルのバーでの飲酒を糾弾したかと思えば、いつの間にか、このように黒いものを白いなどと報じるようになっている。この変節を覚えておこう。一体今、僕たちの見えないところで、政府とマスコミの間で何が起こっているのか、時期が来たら検証しよう。