補正予算成立後の選挙に備えよ

麻生首相は昨日新経済政策を発表し、その審議の先行き如何では解散に踏み切るとの考えを示した。この補正予算は悪化したまま上昇の気配のない経済状況への刺激策を含み、大型の赤字国債発行も視野に入れたものである。

この中には例えば杉の木を伐採し、花粉症対策と同時に伐採やその輸送に関わる雇用を創出するといった名目の案件なども含まれているのだが、これらは現在伐採や輸送に従事する人々の仕事量に関わるだけで、新たな雇用を生むかどうかは甚だ疑問である。またここまで杉の木ばかりを植林した責任には一切言及されておらず、このまま民主党がすんなりと賛成するとも思えない。

こんな小さな政策ひとつとってもこの調子であるから、補正予算の審議が本格的に始まるとあちらこちらで紛糾の事態が生じることだろう。そして与党自民は「野党が審議拒否を行い迅速な景気対策がなされない」とか「野党は何でも反対」と言って激しく非難をすることが予想される。その与党の非難にマスゴミが乗っかった時に選挙が宣言されるのだろう。そして一旦選挙になってしまえば、補正予算を速やかに通すことこそ大事だと言っていた人々が国会を中断して、例の激しい連呼合戦を繰り広げるわけである。

僕がこのブログで何度も主張していることは、民主党は筋を通せ、ということだ。どうせ補正予算に迎合したら軟弱と罵られ、反対したら何でも反対と罵られるのだ。それならどんな細かい部分にも筋を通すことが結果として立場を明確にする。与党自民案は官僚の作成した補正予算案である。そんなもの国民の誰も本心では欲していない。補正予算案を審議なしに通さねば景気が悪化するという風評に踊らされているだけである。

斯様に国民は踊る人種である。小泉元首相が郵政改革と言えば踊るし、小沢一郎は極悪人だと言えば踊る。一方で麻生総理が漢字が読めないと言っても踊る。これだけ踊るのは国民のレベルが低いということはもちろんあるけれど、それよりも国民自身が踊りたくて仕方ないのだろう。後先のことを考えず、炎上する家屋を見て騒ぎたいのだろう。その家屋にどれほど貴重なものが眠っているのか考えようとはしない。

前原誠司グループが小沢一郎党首を辞任させたくて、やたらマスコミに反小沢論を展開する。反小沢論があるのは結構だが、それはマスコミを利用せずにやるべきである。つまり党内での議論に留めておくのが見識だと思う。党の外に出ると踊りたいだけのマスコミと国民が待ちかまえていることに気付くべきだ。彼らを巻き込んだ時、ただでも弱い民主党の結束はさらに弱くなる。そして弱体化して立て直す余裕のないままに選挙に突入するのである。

前原誠司グループの反小沢論は筋を通すということではない。彼らが筋を通す最もクリアーなやり方は党を出るということだ。現状で身内が足を引っ張ることはどう考えても民主党に危機を招くだけなのである。民主党執行部も、次に前原誠司グループが小沢降ろしを始めたら破門にするくらいの矜持を保ってほしく思う。

そしてもはや総選挙目前なのである。民主党は本当に政権交代を目指すなら、今こそ底力を発揮しなければならない。与党自民党の10倍は頑張らなければならない。僕が普段使うターミナル駅や街頭で選挙時以外に民主党議員やスタッフが広報活動をしているのを見たことがない。小沢一郎は選挙にマジックはないと言っているのである。地道な活動の積み重ねしかない。

政権交代を待ち望んでいる国民のために、今こそ全力を出すべき時である。