野田財務副大臣のお坊ちゃま発言はどうしてお坊ちゃま発言なのか

昨日時事通信で流されたニュースなのだが、野田佳彦財務副大臣がTBSテレビの番組収録で小沢幹事長の進退問題についてコメントをしたようだ。

 野田佳彦財務副大臣は29日、元秘書らが政治資金規正法違反容疑で逮捕された小沢一郎民主党幹事長の進退について「参院選で安定政権になることが一番の大命題(最重要課題)。何かの事実があったときには、その大命題に沿った判断をすることだ」と述べた。元秘書らの起訴など事件が進展し、夏の参院選への影響が避けられないと判断した場合、辞任を検討すべきだとの考えを示した発言だ。TBSテレビの番組収録で語った。
 小沢氏が東京地検特捜部の事情聴取を受けて以降、政府・民主党の有力議員で同氏の進退に言及したのは野田氏が初めて。
 野田氏は、鳩山内閣民主党に対する世論の反応について「厳しい局面だ。内閣支持率で支持と不支持が逆転しただけでなく、支持政党なしの(無党派層の)ところで(政党支持率が)自民党に逆転されるところも出ている。相当重く受け止めないといけない」と危機感を示した。
 ただ、野田氏は「今は起訴があるのかないのか、真実はどうなのかを見定めないといけない。白か黒かが見えない中で先走って物を言うのはよくない」とも指摘。小沢氏に対して「(辞めて)責任を取る話の前に(今は説明)責任を果たす段階だ。その責めをしっかり果たしてもらいたい」と、説明を尽くすよう求めた。(時事通信 2010/01/30-00:17)

テレビ番組の収録中の話であり、その番組を見ていないので余計なコメントはしないけれど、相手に都合のいい発言を上手く引き出されまんまと報道されているように思う。

まず最初に、今、小沢一郎について語ることはその一部だけを取り上げ歪曲され、マスゴミに上手く利用される危険があることを肝に銘ずるべきである。些細な言動があっという間に大ニュースとして扱われる。それも小沢一郎の進退をほのめかす発言であれば格好の餌食である。例えそのような意図のない発言であれ、少しでも反小沢と聞こえる発言であればあっという間にニュースとなる。マスゴミは反小沢発言に飢えているのだ。

昨年3月の大久保秘書逮捕の時の異常な小沢バッシングの中、仙石、前原、野田、枝野といった民主党の反小沢グループは、この小沢バッシングを切り抜けるには小沢代表(当時)辞任しかないとして、執拗に辞任をほのめかしマスゴミ報道に迎合した。

その時彼らについて思ったのは、小沢一郎を好きとか嫌いとかの個人的感情を先走らせたり、或いは政治と金等の低レベルの発言を繰り返している場合ではなく、これは民主党が掲げる政権交代を阻止しようとする守旧派の動きであると読んで、危機にどう対処するべきか考える能力の欠如である。

小沢を執拗に攻撃する東京地検特捜部のこれまでの動きを見ると、政治と金といったワイドショー的問題の決着を狙っているわけではなく、小沢一郎の政治生命を何とかして絶ちたいと考えていることが目的であるとわかる。政治と金なんて小沢一郎を政治的に抹殺するための方便にしかすぎない。なぜなら政治と金という問題を大掃除するのなら自民党側も捜査聴取逮捕があらねばならないのだが、やられるのは一方的に小沢一郎とそのスタッフだけだからである。どう考えても一方的な攻撃だろう。

それは何故なのかというと意見は割れ、検察トップの人事を国会の承認制にして民間人を充てようとするのを阻止するためだとか、ライブドア事件福島県のダム談合事件など検察の汚点となるような負け戦を挽回するためだとか言われている。また三井環元大阪高検公安部長が検察の裏金問題を告発することを民主党政権の弱みを突いて止めさせようとしているとか言う人もいる。

しかし最終的には民主党政権の政治主導によって自らの権力が弱まることを危惧してのことではないか、そして憂国の士を気取る検察官僚が暴走したのではないか、という見方が一番もっともらしく思える。

だから彼らは自らの生存本能に従って邪魔者を排除しようとしているのだろう。そんな彼らが最も強力な武器とするのは実は世論の風であり、これが順風であれば荒っぽい捜査でも大衆は拍手喝采するのである。それ故彼らはマスゴミを使って世論をコントロールしようとする。検察からマスゴミへのリークは違法であろうとなかろうと、真実であろうと間違っていようと、世論が検察の見方になってくれればいいのである。

そこで昨日の野田財務副大臣の発言である。まんまと時事通信に捕まって各局各新聞社に配信されてしまったわけだ。得意になって「清潔な政治」を理念として述べたつもりであろうが、誰もそんな話を聞きたいわけではない。民主党閣僚の中から反小沢発言が出たことが聞きたかったわけで、その期待に見事に応えてしまったというだけの情けない話だ。

もし小沢一郎に不平不満や文句があるのなら幹事長室のドアを叩いて直談判すればよいのである。斯様にマスコミの前で戯言を述べてしまうことは地頭の悪さを露呈してしまっている。いくら勉強が出来て政策通であろうと、地頭が悪いというのは政治家としては絶望的である。力はあっても反射神経のないスポーツ選手のようなものだ。

昨年の西松事件の時も、反小沢グループマスゴミに乗せられ彼らの高貴なお説を懇々と述べて得意がっていたのだが、今は皆閣僚として多少の責任感を感じているのか大人しくしているようだ。しかしお坊ちゃま度の高い清純派な人はあっという間に墜ちてしまう。今、小沢一郎が戦っているのは政治と金などといったワイドショーネタではなく、もっと巨大な国家権力なのであって、これに負けることはせっかく果たした政権交代の意義を奪われることなのである。小沢を獲られると次は彼ら自身の立ち位置も危うくなっていくだろう。お坊ちゃまにそのあたりの理屈はわからないのだろうか。

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