乱世に生きるということ

一つ前のブログ記事に週刊朝日でのジャーナリスト上杉隆氏の記事の抜粋を載せたのだが、二日経つとさらに様々な動きが現れた。

まず、鈴木宗男衆議院議員のブログで明らかになったのだけれど、東京地検特捜部によって逮捕され現在も拘留中の石川衆議院議員の女性秘書が事情聴取を受けたという。

この女性秘書には赤ちゃんがいて、石川事務所にベビーベッドを置く許可をもらって議員秘書として働いていた。石川議員が東京地検特捜部の事情聴取を体調を理由に少し延期して欲しいと言った時、東京地検特捜部は「あの女の秘書、小さな子供がいるんだろう。(事情聴取に)呼ばれたら、困るんじゃないか?」と言って石川議員を恫喝したことが週刊朝日の記事で明らかにされている。しかし結局東京地検特捜部は彼女を事情聴取したのである。

 更に昨日は、石川事務所の女性秘書を午後1時から10時半まで事情聴取している。小さな子どもがいるから早く帰してやってくれと言っても、検察は帰さなかった。まさに拷問的取り調べだと弁護士は怒っていた。自分達の頭作りに沿って事件を作っていくというのは、あってはならないのではないか。
 読者の皆さん、これが密室でのやり取りなのだ。だから全面可視化が必要なのである。
 また検事が弁護士を通じ、ある弁護士のことを指して「あいつを切れ」と言ってきたという話もある。検事がこうしたやり方をして良いのか。公正、公平などという言葉とは無縁である。(ムネオ日記 2010年1月27日)

この事情聴取で何より異常なのは午後1時から10時半までという長時間に渡る聴取時間である。しかも彼女は赤ちゃんがいるからはやく帰して欲しいと言っても帰さなかったというのであるから人権を無視した検察の横暴であろう。

また東京地検特捜部が、石川議員の資金管理団体「勝山会」(北海道帯広市)の会計処理問題についても事情聴取していることが分かった、とも報道された。さらには、衆院議員の石川知裕氏(36)が東京地検特捜部の調べに、平成16年分の政治資金収支報告書の提出前に、陸山会など関連政治団体の収支一覧表を作成し、小沢氏に内容を説明したと供述していることが28日、関係者への取材で分かった、とも報じられた。

こうして次々と石川議員関連のリークが出てくるのは、現在逮捕され取調べを受けている石川議員が東京地検特捜部の事情聴取に対して一徹に戦っているからではないかと思われる。つまり石川議員が落ちないから、特捜部は関係者リークを含むあの手この手の手練手管を使っているのだろう。

このような東京地検特捜部の取調べに対して、石川議員の弁護士は、公正な取調を確保し自白強要を防止するため申入書法務大臣検事総長宛に提出した。

そうしている間に、昨年の5月、元大阪高等検察庁検事長の逢坂貞夫氏があの西松建設の取締役(社外取締役)に就任していたこともばれた。この逢坂貞夫氏は先日釈放された三井環元大阪高検考案部長の上司だった人のようである。この話題はきっと今後折に触れ出てくることになるだろう、と思う。

一方の国会では補正予算審議が行われていたのだが、予算審議もそっちのけで自民党は政治と金スキャンダルという、自分たちにとって最も苦手なはずの質問を繰り返していた。その質問者の一人である町村信孝元官房長官が政治資金で不動産を購入していたことがわかった。自分が代表を務める信友会が北海道江別市の不動産を取得していた。収支報告書では取得日と記載日が違っている。小沢氏のケースと同じようである。

政治と金などという自分たちの身の程をわきまえない点を問題にするから自身が火だるまになってしまう。町村氏にとっては幸いというか予定調和というか、メジャーなマスコミはこの問題を報道せずなかったモノとするようである。これが小沢一郎であれば今頃バッシングの嵐が吹き東京地検特捜部に身柄を捕られていただろう。

何にせよ時代は乱世の様相を呈している。アメリカのオバマ大統領は「チェンジ!」を目標に政権運営を始めたが議会がなかなかいうことを聞かず立ち往生している感があるし、相撲界では貴乃花親方が角界大改革を掲げて理事長選に立候補しようとすると暴力団との交際だとか側近親方たちの追放だのといった反撃に遭うし、何かを変えようとすると洋の東西を問わず、またどのような業界でも抵抗勢力によって邪魔が入るもののようだ。逆にこのような邪魔が入るということは、彼らの掲げた改革が痛いところを突いている証拠である。

小沢一郎という政治家を好きであるとか嫌いであるとかといったレベルではなく、彼が守旧派によって攻撃され追い落されようとしていることに気付かなければならない。日本という国は民主主義国家であらねばならないはずで、法治国家でもあらねばならないはずだ。政治家には何千何万という有権者の声を代表する義務があるし、これを安易に攻撃し政治活動を制限することは、その政治家を選んだ有権者の声を封じることでもある。また裁判で有罪になる以前はよほどの現行犯以外は誰であろうと推定無罪として扱い罪を断じるようなことは慎まねばならない。今の報道がこの最低限のルールすらわきまえず、小沢一郎攻撃ばかりしているのはあまりに無定見で恥ずべきことだと思う。

正しく今は乱世であり、守旧派と改革派が入り乱れての大乱戦である。時代の流れを長い目で見ると改革派が勝つとは思うのだが、それまでの道のりは長く険しく犠牲者も出るのだろう。そして今が歴史となった時、振り返ると新しい時代は多くの屍の上に築かれたことに気が付くのである。その日のために、自分が現在をどのような目で見て何を感じているのかしっかりと覚えておきたいと思う。

無料アクセス解析