小沢事務所強制捜査で明らかになった追いつめられた東京地検特捜部

昨夕、東京地検特捜部は小沢一郎の個人事務所や陸山会事務所、小沢一郎元秘書の石川衆議院議員事務所、そして鹿島建設などを一斉に強制捜査した。小沢事務所に対しては特に執拗で、強制捜査は7時間にも及んだが、運び出された段ボールは僅かであったという。

昨年3月の西松問題から始まった小沢一郎鳩山由紀夫への東京地検特捜部の捜査はこれで山場を迎えたようだ。実は起訴された大久保秘書の公判も昨日あったのだが、「秘書がダミー団体を通じて西松建設から違法な献金を受け取ったと」という前提を覆す証言が出てきてしまい大久保秘書無罪の方向へと裁判は向かっている。もはや東京地検特捜部は追い込まれた状態であり、その中での昨日の強制捜査である。大久保秘書公判と同日であるところがにくい演出である。

結局この件は何なのかというと、自分たちの体制に政治家の手を突っ込まれたくない東京地検特捜部が、その権力を傍若無人に使って政治に圧力をかけているという構図だろう。そしてこの東京地検特捜部を霞ヶ関の高級官僚代表としてみるとさらにわかりやすい構図が現れる。

つまり、霞ヶ関改革に対する官僚の抵抗である。外務省でも岡田外務大臣を右往左往させる情報ばかり与え普天間基地問題で泥を被せ、厚生労働省では徹底的に長妻大臣に非協力的であり、財務省に至っては税収が37兆円に落ち込むという根拠のないデータを出して民主党の政策が成就しないように動いている。そして東京地検特捜部は民主党幹部を脅すため無理筋の事件をさも大事件のように見せ世論誘導を行っているのである。

だからこれは政治対官僚の戦争なのであって、東京地検特捜部は小沢一郎という政治家を標的にしている。なぜなら小沢一郎こそが、民主党政権の最大の実力者であり、重石としての存在だからである。小沢を落とせば後は何とかなるという目論見だろう。

この一年間、東京地検特捜部はひたすら鳩山由紀夫小沢一郎を叩こうと偽情報をリークし、根拠の曖昧なまま秘書を長期間拘留し起訴したり躍起になって事件を作ってきたのだが、結局のところ小沢一郎民主党代表を辞任させたことくらいしか効果はなかった。しかも小沢が辞任し後任に鳩山が就いたおかげで民主党支持が高まってしまったという逆効果までもたらしてしまった訳で、実はここまで東京地検特捜部が一方的な負け戦の様相を呈している。

今日、TBSラジオの「荒川強啓デイキャッチ」の中で、政治部の武田一顯記者が昨日の東京地検特捜部による強制捜査を分析していたのだが、それはとても興味深い内容だった。武田記者によると、今起こっている事件が何なのか誰にもわかっていないのだという。昨年の西松事件は最初から無理筋であったし、政治資金規正法違反にしては捜査が大きすぎる。では小沢一郎東京地検特捜部との戦争とは何なのか。

東京地検特捜部は小沢一郎の掲げる政治主導に恐怖を感じ、執拗に小沢を潰そうとしたけれども叶わなかった。逆に見事なタイミングで鳩山由紀夫に代表の座を渡しそのまま選挙に突入し、結局小沢一郎は政権内でも大きな権力を持つ結果となった。これは自分たちの人事、特に3月に行われる検察のトップ人事を始め、自分たちの特権をますます危険に晒すことになった。そこで元秘書である石川衆議院議員をつついて、小沢一郎の任意事情聴取を行い、そこで条件を交換して手打ちをしようとしたのだが、小沢一郎は応じる気配はなく、東京地検特捜部は振り上げた拳をおろす場所を再び失い、事務所などへの強制捜査をする他ない状況に追い込まれた。今更強制捜査などしても、どのような証拠が出るはずもないことをわかっていてもしなければならなくなった東京地検特捜部は追い込まれている、という。

武田記者の分析で面白いのは、小沢一郎東京地検特捜部が追い込まれることを見越して任意聴取をかわしたという点である。そうなると検察は自らのプライドを守るため強制捜査をするか小沢一郎を逮捕する以外道がなくなるのである。しかし政権与党の幹事長を逮捕するほどの大儀も証拠も何もない訳で、否応なく強制捜査に雪崩れ込んだ。その結果18日から始まる国会は空転することになる。なぜなら野党自民党はこの件を追求しようとするだろうからである。しかしながら二階や鳩山(邦)など同じような疑惑議員を持つ自民党も空転し、結局のところ自民党はますます支持率を失ってしまうだろう。国民はいい加減このスキャンダルに飽き飽きとしているし、今の不景気は国家の一大事なのである。自民党などがスキャンダル追求に力を注げば注ぐほど空転する国会に国民の怒りが湧き上がることだろう。そしてその怒りの矛先はスキャンダル追求にうつつを抜かす自民党東京地検特捜部に向かうだろう。また東京地検特捜部は人事や予算はおろか、その存亡すら危ぶまれる状況に陥りかねない。正しく小沢一郎の技あり一本勝ちである。

鳩山にせよ小沢にせよ、疑惑報道がある中で総選挙を勝ち抜き大量の票を得たのである。その結果もたらされた新政権には国民の願いが込められている。その国民の意思や希望を反故にしてまでスキャンダルにうつつを抜かすべきか東京地検特捜部もマスコミも自民党ももう一度考えるべきである。このブログでも以前書いたけれども、特定の政治家が気にくわなかったら選挙で落とせばいいのだ。無理筋のスキャンダルで追い落すことは有権者を裏切る行為でもある。

どちらにせよ東京地検特捜部が追い込まれた現状を打破するにはもはや小沢一郎を逮捕するしかない状況である。満足な証拠もなく、捏造された証言しかない現状でそれが出来るわけもない。しかし国会は18日に始まる。国会が始まると国会議員には不逮捕特権が生じる。そして今国会中に検察トップの人事案議論も始まるのである。東京地検特捜部に残された時間はあと3日しかない。一体どうするつもりだろうか。これは大いに見物である。

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