鳩山安子がファシズムに勝ったと言ってしまいましょう

偽装献金問題、東京地検が首相聴取見送る公算

 鳩山首相資金管理団体友愛政経懇話会」(東京)の偽装献金問題で、東京地検特捜部が鳩山首相側に、同会の収入についての認識などを述べた上申書の提出を求める方向で検討していることがわかった。

 首相自身の事情聴取は見送られる公算が大きい。鳩山首相は、会計責任者の選任・監督に過失があったとして政治資金規正法違反容疑で刑事告発されている。首相側は特捜部の要請があれば上申書の提出に応じ、自身の関与を否定するとみられる。

 特捜部はこれまで、同会から会計帳簿などの提出を受け、会計担当だった元公設第1秘書や、会計責任者だった元政策秘書から事情聴取を進めてきたが、鳩山首相の関与を示す証拠は見つかっていないとみられる。

 憲法は、首相の同意がなければ国務大臣の刑事訴追はできないと定めており、首相の訴追は憲法上も不可能とされる。このため検察当局では、鳩山首相の事情聴取の必要性は低いとする意見が強い。

 鳩山首相側は特捜部の要請を待って、来週中にも上申書を提出する方針。上申書では、同会で使われた首相の資金が、個人献金などと偽って政治資金収支報告書に記載されていたことについて、「知らなかった」と主張するとみられる。
2009年12月2日03時04分 読売新聞

上記は読売新聞の記事であり、この内容を見ると鳩山首相の偽装献金問題は、当初から言われ続けてきた結末に落ち着くことが決まったようである。

つまり、東京地検特捜部はマスコミにリークまでして散々騒ぎに騒いだ挙げ句、自らの地位を貶めること以外に何の収穫もなかったわけである。何せこの記事中にも明らかなように、「憲法は、首相の同意がなければ国務大臣の刑事訴追はできないと定めており、首相の訴追は憲法上も不可能とされる」訳であり、最初から首相を刑事訴追できないことを分かっていながら騒いでいたのである。

偽装献金問題自体が偽装だったなんて洒落にもならないのだが、一緒になって無邪気に騒いでいたマスコミも含めて、これだけ世間を騒がせた落し前をどうつけるのか注目したいものだ。

この時期になって偽装献金問題が決着を見ようとする裏側に、二つの興味深い報道がある。一つは鳩山邦夫自民党衆議院議員にも母安子からの政治資金が渡っていて税務申告されていない事実が発覚したこと、そしてもう一つは90歳を超える鳩山安子氏が心労のためか体調を崩し入院してしまったという情報である。(一部に白内障の治療のためという情報もあり、心労のせいかどうかはまだ不明)

鳩山邦夫氏に関してはこれまでも散々言われてきたことだ。しかし鳩山邦夫氏の所属する自民党東京地検特捜部の長年のパートナーでありその復権を願っている訳で、その自民党へのスキャンダルとなるので封印されていたものである。母親から息子に資金の譲渡が行われたのなら、兄だけに渡ることは常識的に考えてもあり得ないのに、今までは恣意的に存在しないものとされていた。

そして二人の母親である安子氏の入院となっては、国民の同情は高齢の母親に集まり、万一の事態にでもなれば同情票が集まり、鳩山政権の支持率は憲政史上かつてないほど上がってしまう可能性まで秘めている。政権発足後100日以上を過ぎて8割以上の支持率を集めるような政権に楯突くことは得策ではないという判断もあったのだろう。結局鳩山の母が東京地検特捜部に勝ったのである。

そして今再び鳩山政権は考えなければならない時にある。政権発足後75日程度が過ぎて、自らの味方は誰か、敵は誰なのか、もう一度よく周りを見回してみるべきなのだ。敵はもはや支持率も目減りし凋落した自民党などではない。

先ずは官僚(特捜部などもこれに含まれる)、そしてマスコミが敵となるだろう、と以前このブログで書いたことがある。もう一つ付け加えるならば身内の敵だろう。身内の敵とは政権内にいて鳩山内閣の足を引っ張る民主党議員のことであり、具体的に名前を挙げると平野官房長官や前原国交通大臣のことである。

同僚議員はいずれ馬脚を現すだろうからひとまずおいて、先ずは官僚とマスコミ対策をもう一度考え直さねばならない。特に東京地検特捜部に対しては「取調べの可視化」と、マスコミへのリークへの徹底的な追及を行うべきである。

今話題になっている元リクルート創業者である江副浩正氏の著作である「リクルート事件江副浩正の真実(中央公論新社)」などを読んだり、鈴木宗男衆議院議員佐藤優元外務省職員の著作を読むと、取調室の中で東京地検特捜部がどれほど汚い手を使って無実の人間に罪を被せていくかよく分かる。

壁に顔がくっつくくらい近づけて立たせ、耳元に大声で「世間に申し訳ないと思わんのか!」などと怒鳴り続け、挙げ句の果てには「おまえが自白しないのならおまえの部下だった現社長をしょっ引いてやる」、或いは「癌治療をしているお前の事務員を長期間拘留して通院できなくしてやる」などといった脅しをかけるのである。

結局このような取調べに耐えきれず、被疑者は犯してもいない罪を被ってしまうことになることが多い。これを可視化といって、後編集不可能な記録装置に取調べの全てを記録しなければならないことにしたり、弁護士を同席させたりすることで防ごうとするものである。勿論思い通りの取調べが出来なくなる東京地検特捜部などはこれに反対している。これを導入するのであれば囮捜査なども認めて欲しいといったバーター案もある。

しかし、今回の鳩山首相の偽装献金疑惑にせよ、3月の小沢一郎公設秘書逮捕事件、所謂西松事件にせよ、秘書などの身柄を拘束し、取調室の内容をマスコミにリークし世論誘導を謀るという手法はあまりにも危険な手法である。元々公務員の守秘義務を犯したリークなので違法でもあるのだが、こんなやり方を野放しにしているとやがてはファシズムの台頭に結びつくだろう。世論誘導こそファシズムの最大の武器である。

しかも彼らは明確に反政府的である。支持率七割に近い政権に疵をつけようとしているのが東京地検特捜部なのだ。この七割近い支持率はダテではない。55年体制といわれる自民党一党支配で疲弊した国を何とか取り戻そうとする国民の願いなのである。鳩山政権が真摯に国民と向き合うならば、今後も何某かの疑惑を引っ張り出しては世論誘導をしようと試みる東京地検特捜部の暴走に楔を打ち込まねばならない。

そしてマスコミ対策は「記者クラブの開放」と「新聞再販制度の撤廃」、そして何よりも「押し紙の実態調査とその罰則強化」を行うべきである。

長くなるのでリンク先を訪れて欲しいのだが、結局彼らが鳩山政権を幼稚なほどしつこく攻撃するのは何らかの意図があるからである。米国の意向であるとかいう人もいるし、否定はしないけれど、それよりも自らの利益を何よりも優先し、その利益と米国などの利益とが合致したと見る方が自然だろう。結果的に自国の利益を損ない米国などを有利にしても、自らの利益拡張が最優先でそれを達成できたから、売国的行為ではないと言い逃れようとするのだろう。だから彼らに罪悪感はないのだ。

鳩山政権は国民からの支持率が高い間にやるべき事を済ましておかないと、やがて時機を逸してどうにもならなくなる。その時には遅いのだ。今後も下らないスキャンダルばかりに時間や手間をとられるより、きちんと合法的にやるべきことをしておくべきだと思う。そして鳩山首相献金疑惑が一段落ついたこの時期こそ、正に千載一遇の時期なのだ。