連立協議は政局ではない

東京新聞(WEB)によると、社民党民主党と連立を組みにあたって民主党マニフェストを一部凍結するように求めていくという。

マニフェスト一部凍結要求へ 社民、連立入りで民主に (東京新聞 WEB)

社民党は(1)民主党衆院選マニフェスト政権公約)に明記した衆院比例代表定数の80削減方針凍結(2)3党間の連絡調整機関設置―などを連立参加の条件として強く求める方針で、国民新党も同調する構えだ。

社民党国民新党が自らの存在を示そうとすることは理解できるが、民主党マニフェストは国民からの審判を下されたものである。その理由は衆議院議員議数308議席という結果による。

実際は国民の全て、或いは大多数が民主党マニフェストを理解し支持したという訳ではないにしても、現在の選挙制度上では国民の支持を得たと考える方が妥当である。そのマニフェストに今更変更を要求するようでは国民に対して節度がないだろう。

何より、国民の多数は民主党政権に期待を持ち、スムーズな船出を望んでいる。その点をもっと考慮に入れるべきだろうと思う。

しかも第一に反対しているのが衆議院比例代表定数の削減をするな、という話であるから、これは自己保身のための要求と思われても仕方ないだろう。もはや日本人はその程度の魂胆など見通してしまう。結果社民党国民新党の評判を下げるだけの話だ。

本来別個の政党が連立して政権を運営するという話なので権力闘争が起こるのは仕方ないが、これではあまりに露骨である。

少数野党となった社民党国民新党がこれからどのように存在感を発揮していくのかは難しい問題だけれど、中心勢力である民主党マニフェストを一旦呑んで連立を作り、以降政権の中から独自性を発揮する方がずっと良心的であるし理解を得やすいと思うのだが、如何なものだろうか。

また連絡調整機関というものはこの記事を読む限り、政府の決定を連立3党間での合意によって作っていくというもののようで、連絡調整機関の合意なしに政府を動かすことを制限するもののようだ。そうなると連絡調整機関が政府の上位に置かれることになり、これは三権分立の精神にも反することになる。

社民党の存在意義とは、惜しくも落選したが保坂展人元議員のような鋭い論客を持つことにある。決して政局を仕掛けることではない。これから官僚や既得権益擁護派連中と本格的な戦争が始まるのだ。その気勢を削ぐようなことは慎むべきだろうと思う。