植草一秀氏の収監と革命前夜

経済学者の植草一秀氏が昨日収監されたという。

植草氏について、ここでその経歴や二度にわたる逮捕劇、またその裁判の不思議な過程について述べることは退屈だろう。このブログにまでやって来て、拙駄文を読んでおられるような方々は既に先刻承知であると確信するからである。

植草氏のブログは、日本のネット言論に於ける中心の一つだろうと思う。もっとも中心は沢山あるわけだが、政治や経済に関してここまで突っ込んだ考察を、常に一定以上のレベルで提供し続けるサイトは他に見当たらない。植草氏が収監されると、そのブログの更新も止まってしまうわけで、大変に残念なことである。いよいよ政権交代前夜だというのに。

その植草氏と吉田松陰をダブらせるというのはやり過ぎだろうと思うがつい比べてしまう。収監されたとはいえ、現在も活躍している植草氏と、幕末の偉人を比べることに異論もあるだろうけれど、革命前夜に革命派の思想的先導者を捕らえ活動できないようにする手口は共通している。

つまり植草氏と吉田松陰が似ているのではなく、迫害されるという状況が似ているわけであり、権力がその維持のために、徹底的に敵を粛正しようとするやり口は100年以上経っても変わりないということだ。

この裁判の、余りに権力側に都合のよい解釈と、数々の無罪を証明する証拠の無視など、この国の司法がまともに機能していない現実を天下に晒してしまったことは、ある意味今後司法の修正を考えるにあたって有意義な判断材料になることだろう。

植草氏のブログにインスパイアーされた多くの人々は、植草氏が塀の中で自殺する、つまり自殺に見せかけて殺害されてしまうことを案じている。本当に殺害しようとするのなら、塀の中であろうと外であろうと出来てしまうだろうから、特に収監されたからといって危険度が増すわけではないと思う。

但し、この心配は、21世紀の日本はいまだに暗殺国家であるという認識を、多くの一般の国民が共有しているからこそ生じる訳である。これはまともな国家の体ではなく、異常事態である。

参考 自殺した日本の有名人 (Wikipedia)

この約10年間に、多くの政権や政治関係者が自殺した。例えば2007年の松岡利勝農林水産大臣の自殺は腑に落ちない部分が多すぎる。また住基ネット違憲判決で有名な竹中省吾大阪高等裁判所判事、現職の鹿児島県姶良町長だった福元久夫、現職の三重県伊勢市長だった加藤光徳、その他元ライブドアの野口英昭等挙げていくときりがない。

自殺ではなく刺殺された石井紘基衆議院議員などはもっと露骨である。以下に石井紘基暗殺を特集したビデオ画像をリンクする。


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石井紘基の場合、オウムと統一協会の関係、天下り団体の撲滅、日本の本当の国家予算額と債務状況の追求等を徹底して行った。その結果刺殺されたのだが、当初犯人は私怨が原因だったと言っていたのを、上記ドキュメンタリーでは「頼まれてやった」と供述を覆している。

最後に植草氏と小沢一郎との対談がネットで読めるのでリンクをしておく。僕は植草氏が元気なまま釈放される日を望んでやまない。

「小沢一郎&植草一秀」ビック対談 (夕刊フジ/2001年12月) 〜小沢一郎ウエブサイト