高まる解散総選挙の足音は本物か

自民党は12日に行われた東京都議会議員選挙や奈良市市長選挙奈良市市議会議員選挙などに於いて惨敗というに相応しい負け方をした。敗戦の責任はどこにあるのか問えば、それは麻生首相であると答える自民党議員が後を絶たない。彼らは麻生首相を引きずり降ろし、新しい自民党総裁をたてて次期衆議院議員選挙を乗り切りたいと考えているという。何故ならば麻生首相のままでは次の選挙で劣勢に立たされるというからだそうな。

こういう話に、一般の国民は一喝をすべきであると思う。

君たち自民党の国会議員の諸君は、ほんの10ヶ月ほど前に派手な総裁選挙を行って麻生を総理総裁に選んだのではないのか。麻生で選挙を戦おうと目論んだのだろう。福田ががあの恥ずかしい辞め方をした時も、安倍があの情けない辞め方をした時も、小泉があの無責任な辞め方をした時も、いずれの時も衆議院を解散して総選挙を行い、国民にその信を問うことをせず、選挙を先延ばしにし続けて、その結果が昨日のだらしない結果であろう。
昨日の選挙結果も、その前の静岡県知事選挙に於いても、自民党が負けたのは何も麻生一人の責任ではないのだ。この2〜3年の間、政権をたらい回しにして、利権を貪っていた卑しい輩ども全ての責任なのだ。

多くの国民は、自民党既得権益の上にふんぞり返り、利権という甘い汁を吸っていることに目を瞑ってきた。自民党、官僚、経財界、外国のハゲタカ達、といった連中が私腹を肥やしても、それでも一般の国民にもそのお裾分けのような利益が残っていたからである。彼らがもっと正直であれば、国民の取り分はもっと大きかったろうけれど、それでも国民は多少の不満を言う程度で我慢をしていた。

しかし近年、特に小泉政権以降、国民は自分たちの分け前がもう殆ど残されていないことに気がついたのである。どうして一生懸命働いても暮らしは楽にならないのか、教育や医療にこれほど多くの金がかかるのか、電車賃や高速道路料金などがこれほど高額なのか、将来もらえる当てだった年金も食い潰されているようで不安ばかりが渦巻くのである。そしていよいよ労働環境は悪化の一途を辿り、周りには契約社員ニートとフリーターと失業者が溢れているのを目にするようになって、或いは自分もその一部となってしまって、政府は明らかに国をミスリードしていることを漸く実感したのである。

要するに21世紀になって以降の自公政権は国を誤ったのである。それは太平洋戦争以降最大の悪政だったと言ってよいだろう。このGDPをはじめとする国力の低下、国際信用度の凋落、失業率の悪化、詐欺的事件の横行、治安の悪化、教育レベルの低下、冤罪事件の横行、そして収拾のつかない経済不況等がこの約10年の悪政の結果である。もはや国民は身を切られ骨を撲たれているのである。

自公政権はテレビや新聞などのメディアを使って事実を報道しないように仕向け、邪魔者は検察を使って排除した。しかしメディアの信用は落ち、検察も疑問を持たれるようになった。こうなると自公政権は裸の王様状態である。

今更麻生を降ろし、宮崎や大阪のタレント知事を引っ張ってきても、或いはパフォーマンスばかりの桝添厚生労働大臣を据えても、もはや何の意味もない。メディアが騒いでも嘲笑されるだけである。

今日、民主党をはじめとする野党各党は、内閣不信任決議案と問責決議案を提出した。前者は明日衆議院で否決され、後者は参議院で可決される運びとなる。不信任案を否決したことで、麻生降ろしを企む自民党麻生派麻生首相を信任したことになり、総裁替えを行う道理を失う。

一方で、麻生首相は7月21日に衆議院を解散し、8月30日に投票を行うという日程を決めた模様である。解散から投票までブランクが長いのは、東京都議会議員選挙で創価学会員を総動員した公明党に落ち着く時間を与えるための配慮だといわれる。

麻生首相の目論見通り、7月解散8月選挙の日程で通るのかどうか、或いは不信任案を否決したにも関わらず麻生降ろしはますます本格化するのか、肝心の自民党が私利私欲を剥き出した状態であり、恥も外聞もないので、解散の声を聞くまで本当のところは分からない。

この状況は、失業しかけた自民党議員どもの悪あがき以外何でもなく、国民のための政治という本質が失われた状況にすぎない。国民は冷静に見ている。その結果は選挙結果に如実に現れるだろう。

勝負には勝者と敗者がいる。その敗者にはいい負け方をした者と、悪い負け方をした者がある。自民党は悪い負け方に向かって一直線に猛スピードで突っ走っている。