新聞報道の出鱈目さ

小沢一郎民主党代表を辞すると発表した翌日、12日の民主党役員会常任幹事会において、次の代表選挙について話し合いが行われた。

その時の様子を新聞報道で読んだのだが、一体何がどうなっているのか支離滅裂な記事ばかりで、不可思議な思いに襲われた。

例えば、以下の朝日新聞の記事である。
「剛腕小沢」復活 「お前ら言うことを聞け!」 (朝日新聞)

 「3年間、ふつつかな私にご協力、ご支援いただき心から感謝を申し上げる」

 12日午前の民主党役員会・常任幹事会。小沢氏がしおらしかったのは、辞任あいさつぐらいだった。

 代表職の重圧から解き放たれたのだろうか。「剛腕小沢」が突如、復活した。

 複数の出席者によると、小沢氏は4人の役員をにらみつけた。一人ひとり指さし、こうまくし立てたという。

 「福山、長妻、安住、野田、この4人組。お前らいっつも反対反対と。最後くらい言うことを聞け!」

 視線の先には野田佳彦広報委員長、安住淳国対委員長代理、福山哲郎長妻昭政調会長代理がいた。鳩山由紀夫幹事長が提案した16日の両院議員総会での新代表選出案に異論を唱えた面々。いずれも小沢氏と距離を置く議員だ。

 16日は土曜日。鳩山氏は「補正予算審議への影響を最小限にし、突然の解散にも備える必要がある」などと説明し、理解を求めた。しかし、非小沢系の幹部からは「投票日は土日をまたいで有権者の意見を聞いたほうがいい」といった異論が相次いでいた。

 小沢氏の「毒舌」は、終わらなかった。ベテラン参院議員の北沢俊美副代表が「(現職ではない)立候補予定者にも選挙権を与えるべきだ」と主張すると、小沢氏はこう吐き捨てた。「北沢先生のご発言とも思えない」

 了承を求められて、自ら「異議なし!」と大声をあげる場面もあったという。

 強気の小沢―鳩山ライン。非小沢系議員の多くがかぎとるのは、小沢氏から鳩山氏への「禅譲狙い」の思惑だ。実際、小沢氏支持派の多くが鳩山氏待望論を唱え始めた。鳩山氏なら小沢氏の意をくみ、影響力を保てる――。そんな思惑が透けてみえるのだ。

 世論調査では、小沢執行部と距離を置いてきた岡田克也副代表がしばしば「ポスト小沢」の筆頭にあがる。そんな岡田氏にとっては有権者の声が議員に伝わる土日をはさんだ代表選の方が有利に働く。

12日夕の両院議員総会で、非小沢系議員らが巻き返しを図った。3月27日の代議士会で小沢氏の面前で辞任を迫った小宮山洋子・党「次の内閣」文科相が2度質問に立ち、鳩山氏に再考を迫った。

 「なぜ告示日に半日で決めるのか。候補者には小沢問題がボディーブローで効いている。複数で代表選を戦うところをみてもらうチャンスだ」

 野田氏に近い馬淵澄夫氏も「土日に有権者の声を聞き、月曜日に投票すればいい」と日程変更を求めた。だが、結局は「異議あり!」の声が飛ぶ中、とりまとめが行われ、原案通りに承認された。

 日程をめぐる綱引きは、小沢か、非小沢かをめぐる権力闘争の始まりだった。

さて、この記事はその場に記者がいたわけではなく、誰かから聞いたものを元にして書かれたもののようである。かなり事実をねじ曲げた痕跡がある。

本当の民主党役員会常任幹事会は以下のようなものだった。これを読むと朝日新聞の記事が全くの出鱈目であることがわかる。

私の日記 民主党衆議院議員中井浩のWEBサイト

最後の常任幹事会
2009年05月13日

 昨日の小沢代表辞任記者会見の後、今日は役員会、常任委員会両院議員総会と一連の新代表選定に向かっての会議がセットされた。11時からの会議前に部屋に入ると開会5分前に小沢代表が出席してきた。珍しく早く来るじゃないかと冷やかしたら、最後ぐらいはと笑っていた。マスコミの前で挨拶をされますか?と聞いたところ、昨日散々やったのでと言われるので頭取りだけで会合をスタートさせた。

 小沢さんの辞任の挨拶は大変力強く思いがこもった良い表明だった。特に自分が身を引いて、党の一層の一致結束が図れるならこれに勝る事は無い。役を退いても政権交代を実現するため全力を尽くすときっぱり言い切ったが、皆が一番望んでいる言葉だった。小沢代表の辞任の決意を了承して頂けるかという議長としての僕のしきりに、小沢代表一人が大きな声で異議無しと答えたのには思わず笑ってしまった。改めて異議無しで皆の了解を得た。

 僕から「今日まで3年間、小沢代表が獅子奮迅の活躍で党の先頭で頑張って頂いた事に心から敬意と御礼を申し上げる。今後とも只今のご挨拶にあった様に勇猛心を奮い起こして政権交代実現の為、頑張って欲しい。常任幹事会を代表してご挨拶を申し上げる。」と述べ満場の大拍手で小沢さんも満足そうに頭を下げていた。

 鳩山幹事長から16日土曜日、両院議員総会で現職国会議員だけで代表選出選挙を実施したいという提案があった。過去、歴代代表が中途で退任したとき規則にのっとって、両院議員総会で決めてきた。当然の提案だと聞いていたが、北澤副代表から次期衆議院の候補者、総支部長等を有権者として幅を広げるべきだと提案があった。

 小沢代表が手を挙げたので、僕が指名したところ、北澤さんの話とも思えない。もし、有権者を広げるというなら、規約を変えなければならない。辞めた代表のもとで規約を変える事は選挙前に突然、有権者を増やす事になって、民主主義のルールが崩れると激しい答弁があった。北澤さんもすぐに手を挙げたが、僕はこの論争が折角の小沢代表退任の空気を目茶苦茶にしかねないと思い、弱ったなと一瞬考えたところに前原さんが手を挙げられたので、前原さんを指名した。

 ところが、北澤さんが自分が言うべきだと思って発言をし始めたので、僕は前原さんを指名したと申し上げ、前原さんに発言を促した。その後、北澤さん、松木さん、小川さん、古賀さんと賛否それぞれの議論が続いた。他に質問や意見が無いのかと尋ねて、無さそうなので執行部の提案通りご異議ありませんか?と聞いたら、異議無しという圧倒的発声で決定された。13日の読売の1面には僕が議論を打ち切ったと書いてあったが、全く酷い話だ。もっと充分、取材をすべきだ。

 又、朝日新聞には小沢代表が一人で大きな声で異議無しと言って押し切ったという記事が載っていたが、これもさっき述べた様に自分の辞任に関しての異議無しの発言をあえてぼやかして書いて誤解を与えている。全く、ここ2ヵ月余りのこれらの報道機関の小沢代表に対する悪意があるとしか思えない。妙にうがった報道には困ったものだ。

 最後の常幹の終わりに、長年、ご協力を頂いた御礼を申し上げ、拍手の中で会議を終えたが、僕のアイデアで写真を撮ろうという事になった。3年間、少し人の出入りはあったが、このメンバーで党の最高決定機関を運用してきた。40人を超える人数だから、なかなか食事をという訳にもいかず、最終日になったので、せめて写真だけをと考えてお願いし、皆、珍しい事だとか初めてだとか、子供みたいに写真にはしゃいで加わってくれた。和やかな空気の中で散会出来てよかった。同時にマスコミ等では大話題になって、写真が出来たらすぐに欲しいという事だったので、党本部に依頼をした。

読み比べるとはっきりとわかるのだが、発言の内容から始まって、会議の雰囲気に至るまで捏造の見本市のような状態である。これだけ事実と乖離している報道を行ってしまったのであれば、速やかに訂正謝罪を行うべきだろうし、朝日新聞の大好きな説明責任も必要だろう。

マァ、そうは言っても天下の大朝日新聞殿が素直に謝るわけもない。自分で自分の首を絞めているだけなのだが、それもわからないのだから何とも頭の悪い人が作っているんですね、新聞て。


(参考)
国際評論家小野寺光一の「政治経済の真実」
民主党の川内博史代議士を鍛錬する会 (オフィスマツナガ)